「国民民主プレス」発行 衰退を示す紙幅の縮小

衰退を示す紙幅の縮小

 国民民主党が5月7日に結党したが、同月中に機関紙は発行されなかった。民主党―民進党の流れを継承し、民進党に残った参院議員と離党して希望の党に移った衆院議員らが合流するという、いわばコップの中の争いの収拾策だった。機関紙も「プレス民主」、「民進プレス」と名称が変わり、今度は「国民民主プレス」。6月になって初の5月18日号が届いた。

 国民民主プレスにはプレス民主時代からの通巻番号が付されており、同号は通巻408号。が、紙面は減った。プレス民主時代はタブロイド8㌻で月2回発行、民進プレス時代にこれが月1回になり、国民民主プレスは同2㌻で紙面が裏表1枚分になった。6月15日号も2㌻で、1面に衆院議員39人、参院議員23人の所属国会議員一覧が載る。

 新党結党にもかかわらず民進プレスから4分の1になる縮小は、党勢の衰えを印象させるものがある。選挙に勝ちさえすれば機関紙を軽視してもよい考えもあろうが、民主党から20年の党勢と機関紙の体裁が相関していることは否定できないだろう。

 設立大会を扱った5月18日号の見出しは「対決ではなく解決。」「国民生活の向上。民主主義を育てる。」―だ。記事で綱領のポイントに触れ、「自由」「共生」「未来への責任」を基本理念とし、「穏健保守からリベラルまでを接合する国民が主役の改革中道政党を創ります」の活字を太字にしている。

 ともあれ、機関紙の通巻、党本部の場所とも民主党―民進党を正統に継承する位置にある国民民主党と「国民民主プレス」だが、政党支持率は各世論調査を見ても1%前後とはなはだ振るわない。民進党が公認を出さず希望の党の公認を求めた昨年総選挙など、迷走した帰結である。

 一方の離党組の立憲民主党は、機関紙号外「立憲民主」(A4用紙1枚分)を、森友問題の公文書改竄(かいざん)、働き方改革などへの政権批判のアピールのために発行してきたが、A4版8㌻の月刊機関紙「立憲民主」を発行するようになっている。

 しかし、両党の機関紙を合わせても、紙幅がかつてのプレス民主にも及ばないことを踏まえると、党分裂の影響は党の力を二分するどころかそれよりはるかに落としていると言えよう。

編集委員 窪田 伸雄