「民進」に「新しい党」 辛くも新党協議立ち上げ
延々と続けた党内論議
民進党の機関紙「民進プレス」は、昨秋の衆院選後の党内論議に明け暮れる同党を反映した紙面になっている。通常ならば政党機関紙は公約した政策の追求や、野党であれば政権を窮地に追い込む論戦、運動などを前面に出してアピールしていくものだが、衆院選直前の党分裂の事後処理が長引いている。
が、機関紙上では曙光(しょこう)が見え始めたようだ。4月の同紙(4・20)は1面見出しに「新しい党をつくる。民主主義の旗を掲げよう。」と書き、大塚耕平代表の次のような報告を載せた。
「できる限り早期に『中道的な新しい党』を目指す。2月4日の党大会で承認された方針に基づき、3月30日の両院議員総会、4月1日の全国幹事会・自治体議員団等(自治体議員フォーラム・政令市政策協議会・全国青年委員会・女性議員ネットワーク会議)役員合同会議において、具体的に新党結成に向けた動きを進めることが決定されました」
民主党~民進党は20年の歴史を持つ政党だが、これまでの執行部、政権時代の閣僚経験者など同党で目立ってきた政治家の多くは党を去った。残った参院議員が今の民進党の中核で、議員数は激減したが、大政党だった同党の組織はそれなりに大きく、その分、議論の積み重ねに時間を要したと見える。
その中で新党に向けた手続きは着実に進められている。「9日に新党協議会が立ち上がり、10日、新党結成に向けた『綱領・基本政策に関する検討会』『組織・規約・選挙に関する検討会』が開催されました。……今後、さらに党内プロセスを進め、できる限り早期に『中道的な新しい党』を目指す方針を完遂します」と決意を表明している。
また、12日に新党結成に向けた広報ビラ、13日にアピール動画が公開され、「国民とともに新しい党をつくる」「民主主義を守る。新しい党をつくる」とのスローガンを掲げた。
新党に向け同紙2面に載る大塚代表が示した趣意文では、「『新しい民主党』である新党を結党する」と民主党へのこだわりも見せ、また参加を呼び掛けるのは「元民進党議員」であることから、もう一度、自民党に対峙(たいじ)する二大政党としての民主党を再結成したい考えであろう。
ただ、「民主党」の名は立憲民主党に先取りされており、希望の党との新党協議会では新党名に「民主党」は候補から外された。支持率が低く、勝ち馬に乗る勢いという新党結成の決め手を欠いている民進党の「党をどうするか」の議論=党内民主主義は延々と続くが、“草刈場”にされた程度を和らげたという面では辛くも成功していると言えよう。
編集委員 窪田 伸雄