「赤旗」に載る社民党大会 参院統一候補目論む共産

共闘呼び掛けに手近な社民

 「参院選へ候補者一本化/社民党大会 5野党党首が足並み」。大きな見出しで共産党の機関紙「しんぶん赤旗」(2・25)が、社民党大会の記事を1面カタで報じた。

 また、同大会での志位和夫委員長の「あいさつ」を2面に詳報。来年の参院選で「32の1人区については引き続き候補者一本化(各党間のギブ&テイク)を進める」とする社民党の大会決議案に「大賛成」と表明した。社民党は共産党が野党共闘を呼び掛ける際に一番手近な政党になっている。

 左翼・組合票が競合する両党は、選挙などでむしろ反目してきた。その経緯は、社会党~社民党を支持してきた運動指導者が、「『赤旗』創刊90周年」(同紙1・28)に寄せた談話にも表れている。

 「はっきり言って、これまで『赤旗』には私たち平和フォーラムの組織と運動などは、無視されてきたと思います。私たちの側も、『赤旗』に報道してもらおうと思いませんでした。日本共産党の機関紙であり、共産党およびそこを支持する団体とは対抗することはあれ、連携も共闘の経験もありませんでした」(福山真劫・総がかり行動実行委共同代表)

 これが2014年12月の同実行委発足、翌年通常国会での安保法反対で変化した。運動力のある共産党は野党共闘を巧みに仕組んだ。しかも、その後の選挙で独り勝ちしたのは共産党だ。社民党は現在、衆参合わせて4議席の国会勢力で、政党要件も時間の問題の危うさだ。

 昨年、月刊「社会民主」12月号に「『日本社会党』の旗を再び掲げよ」(元社会党本部書記、ジャーナリスト・上野清士氏)という投稿が載ったが、「読者から賛同も反論もなかった」と同誌3月号に続編を書いて嘆いている。不動の第一野党も隔世の感だ。

 社民党は瀕死(ひんし)の衰退ぶりで、今や共産党は『赤旗』で大きく取り上げても、組織を食われると恐れる様子もない。むしろ社民党を紙面に丸呑(の)みするように、同紙日曜版(3・4)でも2面ほぼ1ページ分を充てて、社民党大会記事を大っぴらに載せている。

編集委員 窪田 伸雄