東京都議選と各党機関紙

自民が小池新党と対決、共産は「自公」に標的

 東京都議選(23日告示、7月2日投開票)を前に小池百合子都知事が1日、知事選の確執を残した自民党に離党届を提出し、都民ファーストの会代表に就任した。名実ともに小池新党の旗揚げだ。当選者の任期が東京五輪に当たる都議選は、知事直系与党・都民ファーストの会と自民党との2強対決になる見込みだ。

 自民党の機関紙「自由民主」(6・20)東京都版は豊洲問題で「『知事に自責の念はないのか』/『決められない都政』厳しく追及」の見出しで都議会代表質問を扱い、小池氏との対決を示した。

 また同紙(6・13)は候補者60人の顔写真一覧を掲載。昨年12月に都議が離党した品川区、小金井市などで新たに候補者を擁立し態勢を整えた。都民ファーストの会は5月末に候補者48人、推薦35人(公明党候補23人を含む)で、単独過半数(64議席)を目指すまでには及んでいない。

 同紙(5・30)東京都版は、同党本部で5月13日に行われた都議選必勝総決起大会を「パフォーマンスで戦う政党に負けるわけにはいかない」と、菅義偉官房長官のあいさつから引用した見出しを取り、必勝を期した。

 記事では「『都民ファーストの会』に対しては、開会に先立って上映されたビデオメッセージの中で安倍晋三総理も言及。『急に誕生した政党に、都政を支える力はない』として『結果を出せるのは自民党』と訴えた」と述べ、官邸次元から対決軸を打ち出しており、相当の危機感をもって選挙に臨む構えだ。

 公明党は昨年のうちに国政とは別に都議会では自民党と袂(たもと)を分かって知事与党に立ち、3月には都民ファーストの会と35項目の政策合意を結んだ上で相互推薦の選挙協力をする蜜月関係にある。

 しかし、波に乗る都民ファーストの会と競合する選挙区の情勢を「公明新聞」は、品川区で「このままでは危ない 切り崩し受け圏外」(6・8)、江東区で「情勢急変 重大局面に “残り1”共産と競る」(6・9)、北区で「共産先行、重大局面に 切り崩し受け圏外」(6・13)などの見出しで苦戦を伝えている。

 ただ、同紙が示す対決軸は共産党だ。候補者23人全員当選の至上命令を発しており、都民ファーストの会と合わせて過半数を上回るかが都議選の焦点となる。

 一方、候補者37人の共産党も機関紙「しんぶん赤旗」紙上で都議選キャンペーンたけなわとなっているが、対決軸は国政のまま「自公」だ。

 都議選に向け都内各地の街頭演説を扱った同紙(6・11)の1面の大見出しは「激突 共産VS自公」としている。豊洲問題では「築地市場再整備」を公約する同党は、都民ファーストの会に対して「豊洲か築地かという最大争点で態度表明せず、政党としてあまりに無責任」(同紙6・3、「都議選勝利・党勢拡大の飛躍へ全党が底力を発揮して6月大攻勢をつくり出そう」)との批判はあるが、「都議選の対決構図は、『自民・公明対日本共産党』である」(同)と宣言。次期衆院選を意識し、あくまで国政対決の延長にある。

編集委員 窪田 伸雄