各党「教育」の競い合い、「給付」に「無償化」で対抗
民進「5兆円」どう捻出?
少子化、人口減少に伴い教育政策で各党が競い合っている。政府・与党の「給付型奨学金」に野党は「無償化」でアピールしている。教育無償化は憲法論議にもなり、憲法に明記せよと主張する日本維新の会に対し、民進党は法案を提出する方針だ。
「給付型」について自民党の機関紙「自由民主」は、政府予算案で「『給付型奨学金の創設を含む大学等奨学金事業の充実』に、前年度比75億円増の955億円を計上」「給付型奨学金制度の創設については、平成30年度からの本格実施に先立ち、平成29年度は、特に経済的に厳しい状況にある学生などを対象に、一部先行実施する。給付人員は約2800人」(1月17・24日号)と報告。来年の給付人員は2万人になる。
民進党の機関紙「民進プレス」(2・3)は、1面で通常国会での蓮舫代表の代表質問(1月24日、参院本会議)を取り上げ「教育、教育、教育。これが私たちのアベノミクスへの対案だ」と、教育について力説した発言を小見出しに引用した。ここで、政府が創設した給付型奨学金制度について「評価はするが中身が残念すぎる」と注文を付けた。
蓮舫氏は「幼児教育から高等教育までの教育の無償化を目指す。教育と子育てに予算を集中投資することは、わが国の構造的な課題である人口減少を止め、女性の社会進出と活躍を促して生産性を向上させる。経済対策としても極めて重要だ」と強調した。
他に大串宏政調会長の衆院本会議代表質問、同紙2月17日号で斎藤嘉隆ネクスト文科副大臣インタビューなどで民進党の主要政策として「教育無償化」を唱えている。
重要なのは財源だが、民進党の政策アップグレード検討会議は教育無償化の予算を5兆円と試算。同紙で斎藤ネクスト文科副大臣は「これから対象人数や財源をどう拡充するか議論していきます」と答えるが、責任政党として財源捻出の案を示すかが焦点だ。
公明党の機関誌「公明」3月号は、「教育は未来への投資」という特集を組んだ。給付型奨学金について、石田祝稔政務調査会長が有識者らの論文に先立つ巻頭インタビューで「公明党が半世紀前から訴え続けての政策で、長年の党としての思いを継いで取り組んできた画期的な新制度」と絶賛している。こちらは言い出した早さ、長さで競う。
「自由民主」は2月14日号から麗澤大学教授・八木秀次氏の連載「教育再生が目指す日本の姿」を始めた。安倍内閣の「教育再生実行会議」、自民党の「教育再生実行本部」の提言を解説。やはり、人口減少に直面するわが国の問題打開策として教育の重要性を「一億総活躍」の一環として説いている。
国民にとって、就職までの大学・専門学校まで掛かる教育費の高さは少子化の原因となっていることは否めない。各党が問題意識を共有しており、選挙のためでも熱心な競い合いは良いことに違いない。子供や若い世代のため教育費の負担は軽減されていくだろう。
解説室長 窪田 伸雄