7月期限の共産党運動、党勢が減衰
都議選は微妙、共闘を元自民でアピール
日本共産党は第27回党大会の「成功」を宣伝している。大会に出席した3野党1会派代表をインタビューした機関誌「前衛」(3月号)を、機関紙「しんぶん赤旗」(2・2)1面記事で宣伝。党大会で「野党共闘」を演じた一人、小沢一郎自由党共同代表と志位和夫委員長がサンデー毎日(2・19号)で対談すると、これまた「赤旗」(2・9)が紹介した。
ただ、小沢氏とのタッグが目立つことは、「野党共闘」で本命視する民進党が昨年参院選の時ほど協力的でないことでもある。民進党を応援する労組・連合からは「民共共闘」に批判が上がり、自民党に接近する傘下労組も現れた。
逆に「赤旗」で目立ってきたのは「元自民党」だ。「静岡県菊川市議選で元自民党市議の経歴を持つ横山隆一」氏の共産党議員としての当選(同2・2)、衆院静岡3区の共産党候補者となる「静岡県掛川市の元自民党市議・松浦きよし」氏を「野党共闘で安倍政権倒す」の見出しで紹介する(同2・9)などだ。
先には沖縄モデルがある。2014年の知事選で自民党沖縄県連幹事長まで務めた翁長雄志氏が仲井眞弘多知事(当時)に造反し、共産党から全面支援を受けて当選。「日米安保の理解者」だった翁長氏は真っ先に共産党本部を訪問し、反安保の運動隊列に加わった。
小沢氏も自民党幹事長まで務めた。昨年参院選で民共共闘を深めた岡田克也民進党前代表も小沢氏らと自民党を離党した元自民党議員。
党大会(1月15日)で志位氏は「(自民党政治が)保守の人々も含めて国民との矛盾をいよいよ広げているという『社会の土台での激動』がある」と報告しており、保守層を手応えある工作対象と見ている。
一方、7日に開かれた共産党中央委員会幹部会の報告(同2・8)で、党勢の減衰が指摘された。昨年9月の第6回中央委員会総会から始まった1月末までの「党勢拡大大運動」では、「4666人の党員を迎え」たが「党員は増勢に転ずることはできなかった」。機関紙読者は14年衆院選時と比べ日刊紙94・4%、日曜版92・6%―という。
このため、7月31日期限の党勢拡大を求め、同2日投開票の東京都議選にハッパを掛けている。しかし、小池百合子都知事の新党「都民ファーストの会」の登場で、共産党の“上げ潮”が続くかは微妙になってきた。
共産党は13年の前回都議選で8議席から17議席に増やした。ここから「躍進」に転じた背景には、12年12月衆院選で民主党からの離反票の受け皿となった日本維新の会の共同代表・橋下徹大阪市長(当時)が同都議選前に慰安婦問題で失言して集中的な批判を浴び、「第3極」の政治勢力結集も頓挫するなど“敵失”があったことがある。
解説室長 窪田 伸雄










