「民進」に目玉政策 「教育」が経済政策の基本
「ベーシックインカム」も
政権時代に公約実現で行き詰まった教訓を持つ民進党が、衆院選に向け目玉政策づくりを進めている。機関紙「民進プレス」1月6日号と1月20日号から見てみたい。
蓮舫代表は同紙1月6日号で、旧民主党の「子ども手当」「農業の所得補償」などの主要政策に代わる「民進党として新たな柱となる政策を掲げる必要がある」として、「党内に政策アップグレード検討会を設置」したと報告し、まず、「就学前教育の無償化、大学学費の大幅減免を柱とする」と宣言している。
「政策アップグレード検討会、民進党の経済政策まとめる」の別記事でも紹介されており、「教育の無償化」を経済政策の範疇(はんちゅう)に入れたのが特徴だ。「これまでも民進党は『人への投資』を訴えてきたが、往々にしてこれは弱者対策としての社会政策と受け取られがちだった。しかし、格差是正や教育などの人材投資が経済成長につながることは今や世界の常識となっている」との考え方だ。
人口減少時代の生産性向上のため教育改革を唱えるのは自民党も同じだが、あくまで教育再生実行本部など教育政策として扱われる。その点、同紙は「教育政策は経済成長を目的とするものではないが、今後を考えれば教育を成長戦略の重要な柱として拡充していくことは欠かせない。これが民進党の経済政策の基本的な立場である」と力説している。
もう一つ出てきた目玉政策は、同党税制調査会が決定した「民進党税制改革の基本構想」で「日本型ベーシックインカム(基礎的所得保障)」だ。同紙で古川元久党税制調査会長は、「所得控除を税額控除に変えると所得の再分配機能は大きく強化され」るとして、高所得者の負担増、低所得者の負担軽減をもたらし、「所得税の税額から税額控除額を引いて、引ききれない税額があれば、その分は給付する」と述べている。この際の給付は現金ではなく「社会保険料の負担軽減に充て」、年金保険料の減額や免除を受けている人の「将来の年金給付額を増やす」というものだ。
弱者対策といえるが、税制と社会保障システムを変革する長大な課題であり、負担増を招く所得層と軽減される層との間で議論となる可能性もある。
昨年6月、スイスでは現金給付のベーシックインカム導入について国民投票をしたが否決された。米国ではオバマケアが負担を重くした所得層の反発を招き、トランプ政権で撤廃されるかも知れない。民進党は負担を増やす所得層の有権者にこそ具体的に説明をしていく必要があろう。
また、同紙(1・20)では、野田佳彦幹事長が通常国会の「特に重要な焦点」として「長時間労働の規制や同一労働同一賃金」など「『働く者』の立場に立った働き方改革を」(見出し)と求めている。幹事長が新年に労組・連合の要求に則(のっと)った政策を述べるところ、民進党の党益の一丁目一番地が表れている。
解説室長 窪田 伸雄










