「公明」のポピュリズム批判 反グローバリズムに警鐘
劇場型・小池都政とは連携
公明党の機関誌「公明」2月号は、特集1「『大衆とともに』公明党が希望を開く」に山口那津男代表の新年巻頭インタビューなど。特集2「世界で広がる反グローバリズム」に宮家邦彦キヤノングローバル戦略研究所研究主幹、川上高司拓殖大学海外事情研究所長ら論客を登場させた。トランプ米大統領就任を前に、昨年のブレグジット、米大統領選などをめぐり「反グローバリズム」への票の動き方や今後の世界情勢に関心を払っている。
宮家氏は、反グローバリズムの風潮はグローバリズムで各国に市場経済至上主義が受け入れられ、「貧富の格差」が広がったのが原因と説く。「格差が広がると、社会の底辺を構成する人々の間で『エスタブリッシュメント』と呼ばれる政治的指導者層や異なる宗教、新参移民に対する不信感や怒りが蓄積される。結果として何が起こるかといえば、ナショナリズムと大衆迎合主義(ポピュリズム)が合体した醜く不健全で、時に非常に暴力的そして排外主義的、非国際主義的な動きの噴出だ」と見るのだ。
ポピュリズムでマスコミなどが懸念するのは、後者の移民など“少数派いじめ”の場合だ。逆にエスタブリッシュメント、政治的指導層への怒りには肯定的に注目する傾向がある。
劇場型政治もその例にもれない。かつて「自民党をぶっ壊す」と叫び郵政解散した小泉純一郎首相、その刺客候補だった小池百合子東京都知事は目下、都議会自民党や東京五輪・パラリンピック組織委員会会長の森喜朗元首相と対決色をかもし、新党を率いて夏の都議選に臨もうとしている。
同誌の「本誌編集部」による「政治改革の視点」には、「『大衆とともに』は大衆迎合にあらず」の小見出しで、「公明党は与党時代と野党時代とでは行動が百八十度変わる信念なきポピュリズム政党や、実現可能性のない人気取り政策をばらまき、票目当てに大衆を利用するだけの独善的なポピュリズム政党などとは本質的に異なる政党である」と、ポピュリズムに立つ政党を批判する。
しかし、大衆とともにと大衆迎合との線引きは微妙だ。公明党はポピュリズム的な小池新党とも連携する方向だ。山口代表は巻頭インタビューで、「都政を進めるためには都知事と都議会との対話が重要だ。公明党として対話に基づく東京改革を進める陣容を確保する必要がある」と述べ、知事与党を目指す考えだ。
また、「都議選に臨むに当たって、都議会公明党は『3つの挑戦』を掲げた」として、①議員報酬や政務活動費の削減②私立高校授業料の実質無料化③東京五輪・パラリンピックを目指し「人にやさしいまちづくり」―など、同党の都議選公約を確認した。
①をめぐり公明党は都議会自民党と決裂し、②では小池都政は16日に実現させる方針を固めて応えている。都政においては自民党と対決する劇場型政治に一役買う構えで、今年の都議選は大きな政治の山場となること必至である。
解説室長 窪田 伸雄





