「民進」の「閣法賛成」 少ない政府との政策差

公約目玉は教育無償化に

 民進党の機関紙「民進プレス」12月16日号1面左下に「87パーセントの閣法に賛成」の見出しが目についた。2日号は神津里季生連合会長と蓮舫代表の対談、16日号は枝野幸男同党憲法調査会長の登場だったが、この「賛成」見出しに注目したい。

 ただ、見出しの記事は、各議員の質問を抄出した「重要議案の国会論戦」と題する記事のリード(3面)で、「前国会以前で継続、または今国会で提出された内閣提出法案は30本。そのうち採決し成立したものが23本で成立率76・66パーセント、うち民進党が賛成したものは20本で賛成率86・96パーセントとなった…。反対した主な法案は、TPP関連法案、年金カット法案、消費税引き上げ延期法案など。(2016年12月9日現在)」と記述した箇所だけだ。

 4~5面は「第192臨時国会の審議状況」と題する法案一覧に民進党の賛否、成立等の審議状況が付記された表が載り、記事では「与党の強引な国会運営により審議が不十分なまま強行採決が繰り返された」などの批判が飛ぶ。しかし、成立した内閣提出法に9割近く賛成した事実は、より多く反対する共産党より現内閣に政策が近いことを示している。共産党が来年1月の党大会に向け、衆院選で「本気の共闘」を目指すところ、意味深長な見出しである。

 法案表決の見出しは「賛成」か「反対」かになるだろうが、政府の法案なら野党は反対を強調する。民進党も後者のアプローチが強かった。特に昨年の通常国会で安保法制反対で共産党と共闘し、そのまま参院選になだれ込んだ。それ以前の2012年末、野党になってから同党(当時民主党)は、共産党に票が流れると後を追って「安倍総理の暴走」など同類の批判を展開し、ついには「民共共闘」に至って反対野党の色彩を強めたのだ。

 果たして「87パーセントの閣法に賛成」の見出しは、軌道修正なのか。蓮舫代表は、政権選択に向けて批判以外に語れる政権構想の必要性を説いて、提案路線を唱える。

 2日号の対談で神津会長は「代表が打ち出している対案路線は大事なこと」と評価、蓮舫代表は「細野豪志代表代行が担当する政策アップグレード検討会議で、いつ総選挙があってもいいように、われわれが掲げる旗を明確に示す準備をしています。連合の皆さんと一緒に戦える部分が多いと思いますので、よろしくお願いします」と、連合と不動の関係を確認している。

 蓮舫氏が言及した「掲げる旗」だが、16日号で細野氏は「①就学前教育から大学までの教育についての原則無償化②経済政策を『グローバル経済への対応』と『地域経済の活性化』に区分し、それぞれに対応した政策を実施する」と同会議の基本方針を報告した。選挙公約は教育無償化が目玉になりそうだ。

 連合は反自民非共産の枠組みで政界再編に影響を及ぼし、民主党~民進党を支援した。政策を競う政権選択選挙たりえる二大政党制の再構築をいかに果たすのかが民進党の大きな課題だ。

解説室長 窪田 伸雄