「自由民主」の教育重視 質高め格差克服の財源検討

地域ぐるみ小中一貫校を評価

 自民党の機関紙「自由民主」に教育のテーマが目立った。同党教育再生実行本部の話題を扱い、11月22日号で「地域とともにある学校づくりを」と題し同本部各部会の議論や教育現場視察、12月13日号で「第7次提言を発表」と題し同本部の同提言を特集したものだ。

 国力衰退につながる少子高齢化、高校生世代の18歳から投票権を持つ選挙事情が相まって、教育政策のプライオリティーが上がったと見える。

 12月13日号の「第7次提言」では、「教育の『質』の向上は、教師の『数』を増やすことと教師の『質』を上げること」と主張した。教師を増やす理由に、日本語能力に課題のある外国人の増加、障害を持つ児童に通級待機が発生していること、教師の質を上げるための研修の間を補うための教師がいることなどを挙げた。

 また、教育の質を高め、教育費の負担を軽減して教育格差を克服する財源について、「将来的に消費税の見直し」「無利子の教育国債(仮称)」「寄附文化」などを想定している。質の高い教師を増やす、教育を受ける側の負担を減らす、いずれも財源がいることだが、消費増税に理解を得るほどの真剣な世論を喚起してほしいものだ。

 ところで、不倫を週刊誌で報道された日教組委員長が辞任した。日教組には無駄にカネが余っているようである。それこそ「寄附文化」の対象とすべきだ。教員給与から引かれる組合費の用途が妥当か財源確保の論議でメスを入れてほしい。

 11月22日号では、同本部学校・家庭・地域の教育力部会が「コミュニティ・スクールを基盤とした小中一貫教育」を視察するために三鷹市の市立第三小学校を訪れた記事を主に紹介している。三鷹市は2003年市長選で自民・公明の推薦のほか共産党の支援を受けた清原慶子市長が現職のままだが、1期目市政では男女共同参画に性差を否定するジェンダーフリーを盛り込む条例を模索したことがある。

 一方で同市が導入した小中一貫校、コミュニティ・スクールについては「先進地区として知られ、全国から視察が絶えない」として同紙は評価する。既存の小中学校を「中学校区ごとに7つの『学園』」とする小中一貫教育のメリットは教育のつまづきとなりやすい「中1の壁」の解消などにあるといい、積極的に取り入れたい構えだ。

 また、「コミュニティ・スクールとは『学校運営協議会』を設置している学校のこと」として、同紙は地域や保護者から成る学校運営協議会の仕組みを説明しており、評価してのことだろう。教育問題を校長・教師・教育委員会の“教育ムラ”に任せていられない、あるいは学校側も問題の解決を家庭や地域に求める事例も少なくない。要は今まで以上に国民が教育熱心になれるかどうかだ。各方面それぞれの覚悟がいる。

 が、地域・家庭ぐるみの学校教育への投入は、個人主義社会の弊害が超高齢化社会で弱点となって諸問題を提起している今日、家庭や社会の絆を深め、自助、協助の力を高め、公助の負担を減らす効果をもたらすはずだ。