安保法1年の民・共 共闘発展求めた共産6中総

民進代表選で蓮舫代表に

 安保関連法成立から1年が経(た)った。共産党の同法廃止一点の「国民連合政府」構想を契機に民進党(当時民主党)が国会・選挙での野党共闘に応じ、民共路線に舵(かじ)を切った。

 1年経って民進党では代表選が行われたが、「安保法関連法廃止」を前面に掲げた候補はいない。「民進プレス」(9・2)の蓮舫、前原誠司、玉木雄一郎の3候補の政見PRに同法廃止をきっちり活字にしたものはない。

 一方、共産党は機関紙「しんぶん赤旗」(9・20)で19日の反対集会を取り上げた。「戦争法1年 戦い止まらない」と見出しは大きいが、「赤旗」紙面をしても運動が下火になっている。「国会前、雨つき2万3000人」と主催者発表人数の見出しもあるが、国会前の写真の人数は百の単位かとさえ思わせる。

 また、シールズが解散し、これまでさんざん絵にしてきた若い世代も写っていない。「4野党代表が勢ぞろい」の写真でも、昨年は現役党首がそろったが今年は共産党の志位和夫委員長だけ。民進党は前代表の岡田克也氏、社民党は副党首の福島瑞穂氏、生活の党は新人参院議員の木戸口英司氏。

 民共共闘で臨んだ7月参院選では与党が大勝し、岡田氏は代表選不出馬を表明。昨年は騒動となった反安保法制運動だが、今や左翼従来の労組・団体動員に沈静化しつつある。

 ただ、共産党には得るものが大きかった。20~21日に開いた第6回中央委員会総会(6中総)でも参院選の全ての1人区で選挙協力が実現したことを大きな成果としている。しかし、党勢拡大がついていってないとして「野党・市民の共闘、党躍進へ強く大きな党をつくろう」という見出しを「赤旗」21日付は掲げた。

 6中総の志位委員長の結語では、「第一に、野党と市民の共闘が今後に生きる大きな財産をつくりだしており、党機関も支部もこの取り組みを通じて政治的に成長し、また参院選後も多くの地域で『今後も発展させよう』という機運がすすんでいる」(22日付)と、述べている。

 民進党・岡田前代表は共産党とズブズブの蜜月関係を築いて参院選で票をもらい、地元・三重や東北各県の劣勢を逆転させた。が、共産党はただで票を差し出しているのではない。目標は「民主連合政府」で連立を組むことだ。

 これに蓮舫新代表はどのような姿勢を取るのか。共産党は6中総幹部会報告で10月の東京、福岡における衆院補選でも野党共闘は重要と秋波を送っている。

 ところで、蓮舫代表の選出を報じた「民進プレス」(9・16)は、二重国籍問題を意識して「蓮舫代表、半生を語る。決意表明で」の記事を載せた。日本時代の台湾で生まれた祖母がハスの花の舟を幾つも紡いでつながるようにと付けた名前の由来などだ。

 「クラリオンガールの謝蓮舫」のままタレントならNHK番組「ファミリーヒストーリー」になりそうな苦労話や美談だ。が、ハスの花の白で決める蓮舫氏も、代表となったことで「絹のハンカチが雑巾になる」(藤山愛一郎)政界の泥仕合に容赦なく晒(さら)されよう。

解説室長 窪田 伸雄