公明新聞に党大会報告 「中道主義」を再確認
「加憲」絞り込みに影響も
公明党第11回党大会が17日に開かれ、5選の承認を受けて山口那津男代表があいさつし、「何を『加憲』の対象にすべきかの議論を深める」と発言したことがマスコミに注目された。憲法改正を容認する党派の議席数が衆参両院とも改憲発議に必要な3分の2を越え、自民党と連立を組む公明党の姿勢が改憲論議の行方に影響するためだ。
公明新聞(ネット)18日付の「山口代表あいさつ」から、関係する内容を以下に引用する。
「憲法改正を柔軟に議論しようという政党が大多数でありますが、憲法のどこをどのように改正するのかという議論については、まだ衆参両院の憲法審査会で行われている状況ではありません。まずは各党・各議員が憲法審査会を中心に落ち着いて議論を深めることが必要であり、国民の理解をじっくりと促しながら国会で幅広い合意形成を進めていくべきと考えます」
山口氏はこれに続き、井上義久幹事長報告(19日付)の「憲法改正」の項ともほぼ重なる内容を述べている。
「公明党は、現憲法を高く評価し、国民主権、基本的人権の尊重、恒久平和主義の三原則を堅持すべきとの基本姿勢の下、改正が必要になった場合は現憲法に新たな条文を付け加える『加憲』の立場です。近年、新しい議員が増えたことも踏まえ、党憲法調査会であらためて基礎的な理解を深め、共通認識を持った上で、現憲法をさらに検証し、何を『加憲』の対象にすべきかの議論を深めてまいります」
19日付「主張」は憲法について触れていない。「政権与党を担う自覚さらに強く」と題して、衆院選、統一地方選、参院選の勝利に自信を深め、経済回復を推進し、党基盤のネットワークを強化することを呼びかけている。同党として改憲に関心は薄く、代表あいさつ、幹事長報告で触れたのは一つには改憲政党の自民党と政権を共にしながら国会の憲法論議に対応する指針を示したものだ。ただ、「加憲」対象に言及しており、実際に同党の改憲条文を探ろうともしている。
その際に、「今大会は、政治としての最適解を導き出す中道主義が政治の安定に欠かせない要素であることを再確認した」(同日付主張)ことが、「加憲」論議にも当てはまるだろう。公明党の中道主義の意味は、幹事長報告によれば「政治理念としての中道、すなわち『生命・生活・生存を最大に尊重する人間主義』」というものだ。
また、「中道の理念が渇望される背景には、社会基盤を支えてきた中間団体の解体が進み社会の単位が個人化してきたことに加え、金融経済の暴走や格差の増大、環境汚染や自然災害の激化、テロリズムの蔓延など人間の存在そのものが脅かされる危険性が高まっていること」があると説く。「主張」では「排外的なナショナリズム」に触れた。
これらへの議論が公明党の持つ問題意識として想定され、国民の生命・生活・生存のため、「三原則」の下、今日どの条文を「加憲」対象にする可能性があるか示唆するものがあろう。
解説室長 窪田 伸雄





