「赤旗」の参院選結果 目標忘れ共闘効果を宣伝

民主批判から民進応援で頭打ち

 共産党の参院選結果は改選議席3から議席を増やした。このことよりも同党機関紙「しんぶん赤旗」(7・11)は、党員でも党公認でもない野党統一候補当選の「勝利」を強調した。「野党共闘11選挙区で勝利」の大見出しが1面に躍り、当選者11人の顔写真を載せた。

 同紙に載る10日深夜の志位和夫委員長の記者会見では、「二つの目標」のうち「第一の目標である野党と市民の共闘という点については、全国32の1人区のうち11の選挙区で勝利を収めています」と指摘。11日に同党中央委員会常任幹部会が発した「参院選の結果について」(同紙12日付)でも、「野党と市民の共闘は、最初の挑戦としては大きな成功」と評価している。

 もう一つの目標「共産党自身の躍進」はどうだったのか。今回の参院選に向けて、昨年1月の第3回中央委員会総会で設定した目標は「比例代表で850万票、得票率15%以上」。今年4月の5中総幹部会報告でも、投票直前の9日にも同目標をやり遂げるように檄(げき)を飛ばしていた。

 「参院選の結果について」では「躍進した2013年の参院選と比べて、515万4千票(得票率9・68%)から、601万6千票(得票率10・74%)へとさらに前進したことは重要」と評価している。

 しかし選挙後、目標850万票は忘れたように紙上に出ない。昨年は統一地方選や他の地方選でも上げ潮が続き、過去に800万票の大台突破(98年)を経験しているので、現実感を持って取り組んだのではなかろうか。

 ところで、野党共闘前の14年衆院選で共産党の比例票は606万2962票で11・37%の得票率だった。野党共闘後の今回は14年衆院選での得票・得票率とも若干減らし、やや頭打ちとなっている。

 選挙戦の違いは、14年衆院選では民主党は不甲斐(ふがい)ないと批判する従来の「自共対決」で民主党に埋没圧力をかけたのに対し、今回は共闘して民進党を持ち上げたことだ。共産党は地方選挙区1人区の公認候補を取り下げる代わりに、比例区に42人の候補を立て、選挙区ごとに統一候補の応援の際に「比例は〇〇」と比例候補者名を連呼して集票しようとした。その効果は限定的と言える。

 また、改選3議席から今回6議席に「倍増」と言っても、10年参院選で敗北した改選3議席から増えるのは分かっていた。問題は3年前の参院選で得た8議席に及ばなかったことだ。理由は地方選挙区の複数区で東京以外に当選者を出せなかったからだ。野党共闘でエールを送った民進党が自民と対決する主役の位置をやや回復し、共産党候補に競り勝ったと言える。このため、民進党系の当選者を囃(はや)し立てるのは矛盾もある。

 が、ここまで来たら民進党に逃げられては困るのが共産党だ。「『1+1』が『2』ではなく、それ以上となる“共闘効果”」(「参院選の結果について」)を必死に訴え、ますます民進党に対して恩を売り続けるだろう。

解説室長 窪田 伸雄