民主党の「勝負の年」、新党「これが最後」が前提

衆参同日選想定し公約作り

 2016年新春の民主党機関紙(「プレス民主」1月1日号と15日号)から、同党と①選挙②野党勢力結集③連合との関係―についてみてみたい。トップは1日号が「勝負の年の抱負語る」(見出し)との岡田克也代表インタビュー、15日号は「神津里季生連合会長に岡田克也代表が聞く」(見出し)との新春対談だ。

 ①について、13年に衆院解散・総選挙で不意をつかれた民主党は、今夏参院選に衆参同日選をも想定。15日号掲載の「2016年度活動方針案」に「選挙対策/衆参ダブル選挙を想定し態勢強化」の項目が設けられ、同号には参院選「公認推薦内定候補一覧」とともに衆院選「公認内定候補一覧」も載せた。

 衆院選「一覧」は各ブロック比例候補(選挙区重複含む)が殆どだが、「衆議院小選挙区候補者の擁立作業を前倒しで進める」(活動方針案)と、参院選に合わせて準備を急ぐ構えだ。

 しかし、肝心の参院名簿を見ても選挙区の内定は公認24人、推薦6人で遅れは否めない(1月15日現在)。また、「統一候補」で注目される熊本選挙区・阿部広美氏は未記載、石川選挙区・柴田未来氏は「推薦」で記載する温度差がある。

 ②では、1日号で聞き手の山尾志桜里党役員室次長が「参院選に向けた他党との関係や市民との連携」を尋ねると、岡田氏は「政党間では、維新の党と統一会派を組み、国会では完全に一体で動くことになります。そうした積み重ねの先に、さらに結集するということは、選択肢としては新党も含めてあると思います」と答え、新党も視野に置いた。

 続けて「ただ大事なことは、野党の離合集散に有権者は失望している。だから『これが最後です』と言えるものでなければ成功しない」と述べ、また15日号の新春対談でも「われわれの一番の反省は、大事な時に党が分裂してしまったことで、不信の要因もそこにあると思います。加えて第三極もここ数年は分裂と結集を繰り返し、もうそんなものは見たくないというのが国民の気持ちでしょう」と述べている。

 再分裂するような新党は作らない方がよいとの信念が岡田氏にはある。世論上は「野党結集論」に一定の期待はあるが、安易には乗らない構えだ。

 ③は15日号の連合会長との新春対談に象徴される。政権獲得前の民主党は保守層にまでウィングを広げて無党派層を重視し、政権で首相在任が一番長かった菅直人代表のときは「市民」を意識した。分裂して政権転落した現在は労組・連合への依存度が増している。その連合の神津会長は対談で「民主党以外が受け皿の中心になるのは難しいだろうと国民の多くは考えていると思います」と期待を表明した。

 本紙15日付などは「共産との選挙協力に反対―連合会長」の記事を報じた。「反自民非共産」の方針の踏襲と言える。が、その結集は「枠」から始まったものだ。民主党が政権交代能力を示す「軸」たり得えるかの試金石に、「活動方針案」は政権公約(マニフェスト)作りを重視している。

 解説室長 窪田 伸雄