「赤旗」、共産党が「政権交代」初挑戦を豪語

「市民連合」提言を4党政策合意、共闘の立民は支持率低迷

 共産党は8日の第3回中央委員会総会(オンライン開催)を、機関紙「しんぶん赤旗」(9・9)で「新しい政権つくる歴史的総選挙に」との見出しで報じ、今秋の衆院選挙を「党の歴史で初めて、政権交代、新しい政権の実現に挑戦する選挙」と位置付けた。

 これは自ら「政権選択」の枠組みに入ったと主張したもので、同じ日に「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」の政策提言を立憲民主党、社民党、れいわ新選組とともに共通政策とすることで合意したことも強調している。

 しかし、共通政策を持った4党は政権選択に値するほどの支持を得ていない。小選挙区で4党協力を多く受ける野党第1党の立民の支持率を目安にすると、NHK9月の世論調査では5・5%。4党合わせても10%に満たない。

 衆院選が政権選択の局面となった2009年当時の同世論調査で比較すると、立民の母体の民主党が政権交代を実現した8月の民主党支持率は29・0%(自民党26・6%)、鳩山内閣が発足した9月は42・0%(同18・9%)だった。

 この差は、09年の政権交代の枠組みは幅広い反自民非共産だったのに対し、現状は共産党が「市民連合」を介して反自民非共産の枠組みを崩したことにあろう。枠組みが左傾化して狭くなり、反自民左翼連合といった様相だ。

 マスコミで「市民連合」と略称される「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合」は、15年の安保法制をきっかけに、反対運動を展開した「戦争させない・9条壊すな総がかり行動実行委員会」、SEALDs(学生)、立憲デモクラシーの会(学者)などによって結成された。

 「総がかり行動実行委員会」には、かつて憲法擁護国民連合(護憲連合)など旧社会党に糾合された左翼勢力が92年に協同して発足した「平和フォーラム・人権・環境」と、共産党および同党傘下の労組・団体などの左翼勢力が参加しており、その土台に発足した「市民連合」は、共産党と非共産党系左派をつなぐ接着剤となった。

 4党政策合意について、志位和夫委員長は「第一項目に、安保法制等の廃止・立憲主義の回復という野党共闘にとって一丁目一番地の重要政策が明記され」たと強調している(同紙)。結局は護憲を「立憲」と言い換え、日米安保条約反対運動を当面は安保法制に標的を絞ることで立民を抱き込む左翼運動なのだ。

編集委員 窪田 伸雄