「自由民主」台湾関係
貴重な青年局交流のパイプ 経済・安保で重要な地域
中国の台湾統一に向けた圧力が強まっており、米国はトランプ前政権が政府・軍高官らの台湾訪問に踏み切って牽制(けんせい)し、バイデン政権でもアーミテージ元国務副長官ら米代表団を派遣した。訪米中の菅義偉首相とバイデン大統領との首脳会談でも、東シナ海・南シナ海など日本、台湾、フィリピンなど周辺地域の安全保障が主要なテーマだ。
台湾は半導体大国でもあり、次世代開発など供給網の脱中国の動きから、日米台の経済協力も今後さらに重要になるだろう。民主主義が定着した台湾との関係が見直される中、政党で台湾との交流を継続し、大きな扱いではないが機関紙にも広報されるのが自民党青年局の活動だ。
「自由民主」4月13日号で最終面の1週間の党活動を抜粋する「Weekly Jimin」には、「青年局が台湾・桃園市とオンラインで意見交換」の写真記事が載った。
4月1日、党本部で「党青年局(局長・牧島かれん衆院議員)は、台湾桃園市の鄭文燦市長らとのオンライン意見交換を行った。同局が力を入れる台湾への修学旅行増などに向け、桃園市がパンフレットを制作したことのほか、若者の政治参画やスマートシティに関する施策が話題となった」という。
また党大会を特集した3月30日号に掲載された「青年局活動方針」には「台湾をはじめとした国際交流」が盛り込まれており、台湾重視を打ち出している。同党青年局が発行する「18歳選挙 国に届け」はマンガによる党の政策解説と青年議員と学生らの座談会が載るが、台湾を特集した座談会では牧島氏が次のように交流の経緯を語っている。
「昭和42(1967)年に蒋経国さん(のちの台湾総統)が中国青年救国団主任として日本を訪問されたとき、『青年世代同士の交流をしていきましょう』となったと聞いています。当時、自民党の青年局長が海部俊樹元首相、青年部長が小渕恵三元首相で、そこから台湾のカウンターパート(窓口)の役割を果たすようになったようです」
わが国が台湾を拠点とした国民党政府の中華民国を承認していた当時からの流れだが、70年代の日中正常化による断交以来、旧ソ連と対峙(たいじ)した冷戦時代に同党が中国との関係構築に腐心する一方、同党内には親台派も存在した。青年局に棲み分けて維持した台湾との関係は貴重なパイプだ。
編集委員 窪田 伸雄