「社会民主」 臨時党大会、「護憲」 の看板が立憲へ
国政から消滅の可能性
社民党が14日に開いた臨時党大会の採決で個別の離党、立憲民主党への合流を容認することを決定した。先の国民民主党のように党は残し、残留組と離党組に分かれるもので、参加した代議員167人のうち賛成84というギリギリ過半数で分党を決めた。
月刊「社会民主」10月号の「国会議員リレーエッセー」には、「立憲民主党からの呼びかけについて」と題して吉田忠智幹事長が、合流に向けた態度決定の経緯を報告している。
2月の党大会で、「合流した場合の理念・政策や党員制度、地方組織、運動団体との関係、機関紙誌の扱い、党職員の雇用等の課題について」決めることになった臨時党大会の開催は、新型コロナウイルス感染で延び延びになっていた。
この間の党内議論について吉田氏は、「戦後政治史において、社会党、社会民主党が大きな役割を果たしてきたことは言うまでもない。日本で唯一の社会民主主義政党である社会民主党をなくしてはならないとの悲痛な声もいただいている」と、まずは合流反対の意見を載せた。
一方、「国内外の社会経済情勢が大きく変わる中で、社会民主党が今のままで働く仲間や市民の皆さんの代弁者として活動できるのか、公党として存続するための組織・財政の現状は限界を超えているのではないか、志を同じくする方々とより大きな固まりの中で行動していくことも選択ではないのかとの意見も寄せられている」と指摘した。
両論を折衷しながらも、実質的に後者の結論に落ち着いたと言える。社民党は社会党時代から「護憲」が看板だったが、これを「立憲」と言い換えた立憲民主党にお株を奪われた。2017年衆院選で競合する野党の民進党の分裂はチャンスのはずだったが、2議席維持で上出来だったようだ。しかも、当時から同誌には民進を飛び出した立憲の躍進を歓迎する大谷昭宏氏らのコラムが載った。
社民党の国会議員は福島瑞穂党首(参院議員)、吉田幹事長(参院議員)、吉川元・政審会長(衆院議員)、照屋寛徳衆院議員の4人。党首の福島氏は残留する。昨年の参院選で得票率2%を得たことにより22年までの政党要件を満たし、福島氏は再来年の参院選に挑むつもりだ。
一方、大半の党員、地方組織が立憲への合流のため党を離れる。社民党は次回の参院選で票を減らし、政党要件を失って、国政から消滅する可能性は高い。
編集委員 窪田 伸雄