公認内定載る「国民民主」 立憲へ合流で“空手形”に

理解に苦しむ離合集散

 国民民主党の機関紙「国民民主」も終わるのであろう。7月17日号には「第49回衆院選(2021年10月21日任期満了)公認候補内定者一覧」が載り、43人の内定候補者の顔写真をブロックごとに載せているが、肝心の現職は同紙に「入党のお知らせ」を告知された山尾志桜里衆院議員を含めて載っていない。

 立憲民主党との合併協議の事情もあっただろうが、党の今後もどうなるか分からない公認内定者リストは空手形のようなもので、本気度を欠いていた。結局、同党は19日に両院議員総会を開き、解党の上で立憲と合流すると決めた。

 国民民主党の今後に関して、玉木雄一郎代表は「解党した上で分党する」と表明しており、立憲に加わらない残留組と新しい党の結成を模索している。合併協議は支持率1%前後の国民が次期衆院選に展望を持てないながら、民進党継承による政治資金をまだ50億円ほど保有していることが交渉力となった。

 協議が合意に至らなかったのは、玉木氏の主張する消費税減税で一致できなかったためで、結局、政策面では民主党時代を含めて消費税問題が火種となっている。同紙でも、新型コロナウイルスや豪雨災害への対策として「追加の現金給付と減税措置が必要」(見出し)と訴えており、減税は残留組の新党の目玉政策になるとみられる。

 国民・立憲勢力の離合集散の混迷は、民主党政権時代に菅直人、野田佳彦両首相が選挙公約に反する消費税増税へと舵(かじ)を切ったことに激昂(げきこう)した小沢一郎元民主党代表が、集団離党の挙に出たことが始まりだ。その後、小沢氏は、国民の生活が第一、日本未来の党、生活の党、生活の党と山本太郎となかまたち、自由党と党を変えながら昨年に国民に合流したが、さらに立憲への合流を「政権批判の受け皿」として歓迎した。

 直近の分裂(民進党分裂=国民・立憲への分裂)の当事者、前回衆院選で希望の党出馬騒動を起こした前原誠司元民進党代表は残留組だが、もはや旧民主党の離合集散には、理解に苦しむ有権者も多いだろう。

 編集委員 窪田 伸雄