災害対策で「立憲」「公明」 専門省庁の設置を提案
広域同時多発に不十分
激甚化する台風の被害を受けて、各党メディアとも被災地視察や災害対策について扱っている。立憲民主党の機関紙「立憲民主」(11・15)は、2~3面に党災害対策局長の岡島一正衆院議員の話を載せ、この中で同氏は「災害の広域性や同時多発性や大型化を鑑みると災害対策庁というべき組織を作ることが今後の災害対応には欠かせないと考えています」と述べ、わが国に災害専門の省庁を設置することを提唱している。
内閣府防災担当の職員は懸命にやっていると評価しながらも、「しかしいかんせん規模が小さすぎます。職員は1000名前後で基本的には各省からの出向組です。これが米政府のFEMA(アメリカ合衆国連邦緊急事態管理庁)だと専従の職員が8千人くらいでハリケーン、山火事などの災害対応をしています」と、米国の例を紹介した。
各都道府県内の一部の地域の被災にとどまらず、台風19号の水害は同時多発的に東日本の広域にわたり、東日本大震災も東北各県に大きな被害をもたらした。自治体レベルで対応しきれず国家的な対処が必要だが、「広域な同時多発的災害に対して、日本の防災体制は包括的に十分なものではない」と訴えた。
この問題意識は公明党の機関誌「公明」1月号の特集「命を守る防災・減災対策に総力」に寄せた識者の記事にも認められる。「日本の危機管理組織の将来像を考える」と題する東北大学教授の中田俊彦氏の記事では、米国で消防庁、連邦災害援助庁らと統合されたFEMA設置を参考例に示す一方、日本には災害救助法、災害対策基本法、東日本大震災復興基本法の「3種の法律が、現在も併存するものの、それらを一元的に管理する組織がない」問題点を指摘。「復興庁と従前の防災組織が統合して、常設のマネジメント組織に転換することが重要だ」と述べている。
また同誌で、東北大学災害科学国際研究所教授の小野裕一氏は気候変動の緩和策や適応策を加えた「気候変動・防災庁の創設」を提案した。与野党で大いに議論してもらいたい。
編集委員 窪田 伸雄