「赤旗」で8中総報告 綱領改定案示し中国批判
野党共闘のため「障害」除く
共産党の機関紙「しんぶん赤旗」6日付は、来年1月の党大会に提案する党綱領一部改定案などを了承した第8回中央委員会総会(8中総)について報告した。中国などを「社会主義をめざす新しい探究が開始された」とする一文を削除し、「発展した資本主義国での社会変革は、社会主義・共産主義への大道である」などを書き加える方向だ。
現在も存在するロシア革命後に誕生したアジアや中南米の社会主義・共産主義国は、「資本主義の発展が遅れた国からの出発」なので「社会主義的変革には、極めて大きな困難がともなう」としている。つまり、出来損ないと見ている。
特に中国について「大国主義・覇権主義的行動から生まれる社会主義のマイナスイメージで日本共産党前進の障害になっている」と批判。この「障害」を取り除くことが目的であることを隠していない。
9月の7中総では「野党連合政権への道を開く」と打ち出し、8中総でも党創立100周年の2022年までの樹立を目指すとした。安保法反対で共闘した他野党と参院選1人区で擁立した統一候補を衆院選小選挙区にも展開するため、他野党に連合政権合意に向けた協議を働き掛ける構えだ。その際、中国など「社会主義のマイナスイメージ」が足枷(あしかせ)になりかねない。
また、「発展した資本主義国での社会変革」の舞台は、日本、米国、欧州諸国が考えられるが、これらの国で共産党が合法化されて議会勢力を得ているのは日本だけだ。「大道」ならぬ特殊ケースであり、我田引水の理屈だが、人権、格差、ジェンダー平等、女性、核廃絶、気候変動などの問題で「社会変革」を説くことは立憲民主党、社民党などとの政策と大差はない。
共産党は比例代表では党の集票に力を入れるとする一方、仮に衆院選の主戦場となる小選挙区の全選挙区で統一候補となれば、殆(ほとん)どで他野党候補を当選させるために奔走しなければならない。党員に葛藤がない方がおかしい。“形を変えた革命の実践”として説得しやすくなるか否か綱領改定は大きな賭けになろう。
編集委員 窪田 伸雄