小学校教員が干潟に棲む生き物たちを観察

東京都江戸川区の葛西臨海水族園で講座

 小学校教員を対象とした、干潟に棲(す)む生き物たちの調べ方や観察結果の発表方法などを学ぶ講座「干潟を体験!環境と生きものを知る」(葛西臨海水族園主催)が7月31日、東京都江戸川区の葛西臨海水族園で開かれた。参加者約40人は午前中に干潟で生き物の観察を行い、午後は同水族園内で観察結果の発表に取り組んだ。(石井孝秀)

西なぎさのマップを使い“振り返り作業”も

 教員らがフィールドワークを行ったのは、同水族園の目の前にある干潟・西なぎさ。砂の中から餌をこし取って食べる際、砂を団子状に丸めるコメツキガニや細長い棒のような姿をしたマテガイなど、さまざまな生き物たちが生息する。

 司会を務めた同水族園の教育普及係・西村大樹さんは干潟の環境について「川から栄養が流れ込み、さらに日が当たって珪藻(けいそう)が増える。それをカニが食べ、カニを食べる鳥がやって来るなど、食べる、食べられるの関係で多くの生き物が干潟に集まって来る」と説明した。

小学校教員が干潟に棲む生き物たちを観察

相談しながらフィールドワークをまとめる参加者=7月31日午後、東京都江戸川区の葛西臨海水族園

 干潟のカニは種類も数も多く、遠目にもカニたちが砂の上を歩いているのをよく見つけるが、人間が近づくとすぐ穴に隠れてしまう。その時、一緒にいたスタッフが「カニで実験をしてみましょう」と教員らに提案した。

 しゃがんだままこっそりとカニたちに近づき、全員で一斉に「わー!」と大きな声を出す。だが、カニたちは微動だにしない。続いて「せーの」で一斉に立ち上がると、カニたちは一瞬にして穴の中に潜り込んでしまった。どうやら空気の振動はあまり感知せず、地面の振動や視覚で周囲を確認しているようだ。スタッフによると、子供たちと一緒にやるととても喜ばれる実験だという。

 観察終了後はグループに分かれてフィールドワークのまとめ作業を開始。メンバー同士で話し合いながら、西なぎさのマップに見つけた生き物のイラストや特徴を書き込むなどして午前中の観察を振り返った。さらに教員らは学校での授業を想定した発表会にも挑戦。各グループが学年や教科をそれぞれ設定し、自分たちの体験内容を実際に報告した。

 あるグループは、2年生の生活科をイメージし、クイズ形式の発表を披露。発見した生き物の体の一部を拡大した絵を見せて「この生き物なーんだ?」と問題を出しながら、見つけた場所や体の大きさなどを発表した。