レパートリーは20曲、地域貢献活動で高評価

 「秋田おばこ節」「長者の山」など秋田県内の民謡約20曲をレパートリーに持つ。秋田県立大曲農業高等学校(小林吉則校長、生徒数502人)の郷土芸能部だ。今や県内のイベントや介護施設の催事への出演依頼が絶えず、学校側では年間25公演ほどに抑えている。地域貢献活動に高い評価を得ており、若者の歌と踊りが秋田を元気づける。(伊藤志郎)

大曲農業高校郷土芸能部、歌や踊りで秋田を元気に

「漆芸の未来を拓く―生新の時2019―」開催中

民謡を披露する大曲農業高校郷土芸能部=秋田市

 先日、秋田市で開かれた「これが秋田だ!食と芸能大祭典2019」にも出演した。「おばこナ何ぼになる 此(こ)の年暮らせば十と七つ」の歌い出しで始まる「秋田おばこ節」や「長者の山」「秋田甚句」など4曲を披露。太鼓、尺八、三味線、横笛、そして唄と踊りがきれいに調和している。

 4曲を終えたところで何人もの観客からアンコールの声。司会者もびっくりの出来事だったが、生徒たちがさっと打ち合わせて急遽(きゅうきょ)「秋田音頭」に決定。3年男子が三味線をチャンチャンと調弦して演奏を始めた。伴奏と踊りの息がピッタリ。日ごろの稽古が実った。

 絣(かすり)にもんぺ姿の2年女子の踊り手は、生活科学科で料理、服飾、介護などの勉学に励む。「中学生の時、地元のショッピングセンターで先輩の姿を見て踊りが好きになりました。『秋田おばこ節』はJR大曲駅の発車メロディーなので、なじみがあります」という。また別の踊り手は「秋田の民謡は歌が多く、しなやかな手の動きが特徴です」と話す。

 尺八を吹くのは、鯉口(こいぐち)シャツに腹掛けという、きりっとした祭り姿の3年男子。「小学校高学年の授業で尺八、中学校では琴を習いました。尺八は吹く人の個性が出せるので楽しめます。昔からの楽器が継承されていて日本文化への理解が深まります」

 顧問の入江香織教諭は「平成15年に部員10人で発足しました。最初の頃は女子生徒が少なく、CDをかけての踊りだけでした。今では男女比がほぼ半数」と言う。唄はもちろん、尺八、三味線などの楽器、それに手拍子、掛け声などが入り、深みが増した。

 師匠は、三味線、尺八、唄の3人と、卒業生が踊りの指導をしている。部活動は放課後の1時間半。大会前は2時間から2時間半ほどの稽古を行う。今年7月28日(日)午後3時からは同校体育館で同部の第2回定期公演があり、約20曲を3部構成で披露する。

 応援に駆け付けた小林校長は「さまざまな演目を一気にできる力量を持った生徒たちは他にいない。これからの活躍に期待しています」と誇らしげに語る。

 また大仙市の西山光博副市長は「大仙市は、秋田県で開かれる民謡全国大会のうち、秋田おばこ節、秋田おはら節、秋田飴売り節などの大会を開催している。伝統の継承は重要なことです」と述べた。