「生活科教育研究会」春の定例会
秋田県仙北市立生保内小・三浦和義研究主任
「生活科教育研究会」の春の定例研究会がこのほど、渋谷区立千駄谷小学校で開かれた。秋田県仙北市立生保内小学校の生活科研究主任の三浦和義氏が「地域とつながる生活科(低学年)・総合的な学習(中・高学年)の時間の実践」を報告、文部科学省初等中等教育局教科調査官の渋谷一典氏が「学びをつむぐ生活・総合の授業の創造」と題した講演(次回掲載)が行われた。全国各地から先生が集い、熱のこもった研究会となった。
「生小応援団」設立しサポート 児童の深い学びにつなげる
秋田県仙北市は田沢湖、駒ケ岳、県内屈指の観光地で年間600万人が訪れる観光都市。玉川温泉、角館の武家屋敷、枝垂れ桜など自然や歴史があり、人のぬくもり、優しさなどの観光資源に恵まれている。生保内小学校は全校生徒202人、学級数9(特別支援学級2を含む)、教員・職員数27人の小学校だ。
昨年度、生保小は学校を挙げて「気付きの質を高め、表現する授業づくり」という教育目標を定め、授業実践を行った。そして、外部とのつながりとして、幼稚園・保育園と小学校との連携を見直し、小学校の校外学習などをサポートする「生保内小学校応援団」(仮称)を設立、地域の教育素材を見直し・掘り起こすことを課題として取り組んだ。
サポート団体は、農家の現状や苦労話をしたり、観光案内の現場を児童たちに分かりやすく紹介したり、案内するなどの活動をしている。「生小応援団」のメンバーは、一方通行のボランティア活動ではなく、子供たちと共に、学び、成長していきたいという気概を持っている。
また、「生小応援団は校外学習での見学や、学校でのゲストティーチャーを受け入れる場合も、学校側にどんな話をしてほしいのか、事前に連携を重ねている。見学の場で、児童たちが、どんなことに興味を持ったか、質問の態度はどうだったか、継続的に学校と関係を保ち、児童たちの様子の変化・成長まで、学校と連携しながら共有し、児童たちの深い学びに結び付けている。
田沢湖公民館、市教育委生涯学習課をはじめ、神代活性化協議会、PTA母親委員会、生保内友の会地域運営団体、おはなしの会「アトリエ」などを学校を中心にして「生小応援団」という形にまとまってきている。関係性を持続させていくため、児童たちが礼状を書いたり、再訪の約束を取り合ったりというアフターケアも行っている。
学校側は児童たちが、校外学習のサポートやゲストティーチャーとして「生小応援団」と関わりを持ったことで得た「気付き」を劇、文章、絵、写真として資料としてまとめ、児童同士が意見を発表し合っている。先生たちは、児童たちの新たな気付きに発展するよう、適切な質問を投げ掛けるなど、授業の工夫を重ねている。そして、児童たちが互いに「教えてもらった」「相手の考えが分かった」ことを褒め合い、互いの自尊感情や自己有用感、学習意欲を高める努力も欠かしていない。