「親になる」ためのプロセス


 今春、わが家は子供の中学校卒業式と高校入学式を迎えた。小学校入学時ほどではないが、義務教育が終わったという感慨がある。

 ところで高校の入学式では、父母一緒に参加していた保護者が3分の1ほどいた。高校になってもまだ父親が参加するのかと思う人もいるかもしれない。しかし、参加した親にも思うところがあったはずである。

 何年前だったか、大学の入学式や企業の入社式に同伴する保護者がいると報じられたことがあったと記憶している。「親離れしない子」「子離れしない親」と、多少問題視するようなスタンスだったが、筆者自身は子育てを経験してみて、入学式や入社式についていく親にあきれる気持ちにはならない。

 子育てには各家庭によって事情があるからだ。子供の状況や親自身が育った環境によって、子育ても変わる。そして「子育てを通して親も育つ」と言われる。

 こんなことを思うのも、児童虐待事件が後を絶たないからである。児童虐待防止法の改正では保護者による体罰禁止が大きく取り上げられている。確かに緊急事態に対応するための法律整備は必要だが、虐待を予防するという意味では親支援、家庭支援に力を入れるべきだと思う。

 齋藤嘉孝・法政大学教授によると、子供の発達があるように、親自身にも発達があり、親になるプロセスは子供時代の原体験から始まっている。そのために小中学生の段階から「親になるための準備教育」を行うことが重要だという(『親になれない親たち』)。

 筆者の年代では、子供を育てることや親になる心構えについて教育を受けた記憶はない。重要なのは「親になる」ことである。本来は、そのための教育を充実させるべきではないか。

(誠)