教育現場を生き抜くためのコミュニケーションスキル
臨床心理士の島崎美咲氏が講演
児童・生徒の特性を良く見る
2017年、うつ病などの精神疾患で休職した公立小中高校の教員は全国で5000人を超えた。「特別な教科 道徳」の導入、小学校での「英語」授業の拡充、指導要領に「主体的・対話的で深い学び」が示され、働き方改革が求められるなど、教員のストレスは増すばかり。
個々に合った関わり方が肝要
そんな中、教育現場だけでなく、親として、また、長い人生を通じて重要になってくるのがコミュニケーションスキル。児童・生徒との関係だけでなく、保護者との関係、自分の精神健康をどう守っていくのか、について、「電通育英会」人材育成助成事業、教員志望のための人材育成講座「こんぺいとうゼミ」(NPO法人BOON主催)の講演会が、このほど学生らを中心に都内で開かれた。
生徒との関係、保護者との関係、そして自分の精神的健康を守っていくためのコミュニケーションスキルをいかに向上させていくかについて、臨床心理士の島崎美咲さんが語った。教員養成講座で、教育における技術的な内容、頑張れ、というエールに終わるケースが多い中で、自分の精神的健康をいかに守っていくコミュニケーションスキルを伸ばしていくか、についても語られた。
児童と良い関係を築くポイントとして、①物分かりの悪い先生でいる(思い込みを捨て良く聞く)②ルーティーンを作る③「それでいい」と児童・生徒を認める(行動や理由、気持ちに寄り添う)④ゴールは先生が決める(少し頑張れば届くところに設定)⑤平等に対応しない(できないことを頑張ることを褒める)⑥継続して褒める(喜ばない子、嫌がる子にも継続)――の六つを挙げた。
人生を模索する自立時、反抗期を迎える中学生との関係を築くポイントとして、①生徒の言葉にすぐに反応しない(内容を理解する)②すぐに成果を求めない(長いスパンで見守る)③考えさせ、否定しなし(経緯を尊重する)④良い部分、悪い部分を三つ見つける――人生を模索する自立時への対応を四つ例示した。
また、発達特性について①自閉症スペクトラム症(ASD)②注意欠陥多動症(ADHD)③限局性学習症(SLD)④発達性協調運動症(DCD)⑤知的発達症――を解説、個人の症状も強い場合、弱い場合さまざまで、特徴・特性をよく見極め対応することの必要性を示した。
児童・生徒との関わりについて、子供の性格、特性、気質を理解し、個々に合った関わり方を見つけることが肝要。子供が話し掛けてきた時は、話した内容だけでなく、なぜ今なのか、気付いてほしいことがあるのか――などの視点を持ち続けることが大切だ、と締めくくった。