ご存知ですか?「健康長寿新ガイドライン」

都健康長寿医療センター研究員・清野 諭氏

 「ご存知ですか?『健康長寿新ガイドライン』ポイントを押さえて!あなたも健康長寿」をテーマにした東京都健康長寿医療センター研究所主催の老年学・老年医学公開講座が東京都文京区の文京シビックホールでこのほど開かれた。社会参加と地域保健研究チームの清野諭研究員は「体力・身体活動~筋力+歩行力で、生活体力をキープしよう!~」と題して、健康長寿を保つ生活体力とはどれくらいの運動なのか、その実践について来場者に紹介した。

生活体力の維持・増進/運動と体操など組み合わせ

ご存知ですか?「健康長寿新ガイドライン」

都健康長寿医療センター研究員・清野諭氏

 東京都健康長寿医療センター研究所が全国各地で実施した65歳以上の5000人の体力調査結果から作成した体力チェックシート。歩行速度と握力の目安が示されている。前期高齢者男性の握力を見た場合、健康づくりのための目標値は34㌔(女性22㌔)、介護予防のための目標値28㌔(女性18㌔)。後期高齢者の男性の握力、健康づくりのための目標値が29㌔(女性18㌔)、介護予防のための目標値24㌔(女性15㌔)とされている。歩行速度においては、前期高齢者男性で健康づくりのための目標1・3㍍/秒(女性1・3㍍/秒)、介護予防のための目標1・2㍍/秒(女性1・1㍍/秒)で、後期高齢者の歩行速度においては健康づくりの目標1・2㍍/秒(女性1・1㍍/秒)、介護予防のための目標1・0㍍/秒(女性0・9㍍/秒)と示されている。

 生活体力を保持・向上するための運動目安として「歩行運動」「筋力運動」「体操・ストレッチ」があり、三つを織り交ぜ、効果的に行うことが大切。「健康づくりのための身体活動指針」では、今より10分多く体を動かすことを奨励している。

 有酸素運動の「歩行運動」については前期高齢者(65~74歳)で1日外出で4000歩、プラス家の中の家事などで3000歩、合わせて7000歩(うち20分早歩き)を目安にする。後期高齢者(75歳以上)は外出3000歩、家の中2000歩で合計5000歩を目安にする。

 「筋力運動」というとダンベルや筋トレマシンを思い浮かべる人も多いが、自分の体重を使った、家庭でできる簡単な運動もある。10回から20回のスクワット、椅子スクワット、もも上げ、椅子もも上げ、爪先上げ、座った状態での爪先上げなどで、回数は年齢や体調に配慮、早歩き、ゆっくり歩きのインターバル・ウオーキングなども有効だ。

 「体操・ストレッチ」は気分のリフレッシュや関節痛の予防・緩和に効果的。最低10分以上の柔軟体操を最低週2日以上することを推奨している。関節は血管が乏しく、関節痛の予防・改善には血液に代わって関節液が栄養を運ぶが、体を動かさないと、関節液が滞って良い状態を保てなくなる。痛みの出ない範囲で体操やストレッチ運動を実践することをお勧めする。

 運動を始めるのに、遅過ぎるということはない。