英語保育の効果は
20年前、学童保育と言えば、ちょっと暗いイメージがあった。ところが、先週の土曜日、最寄り駅前に来春オープンするという最先端の学童保育の募集広告を見て、驚いた。充実した習い事が並び、保育と塾がドッキングしたイメージだ。
学校が終わるとキッズトレーナーの引率で学童保育に移動。そこにはラーニングセンターがあり、キッズトレーナーが英語でコミュニケーションする「あそびとまなびの英語空間」が提供されている。
小学校の英語授業の必修化に対応し、今や働く高学歴ママのニーズを反映し、習い事のトータルサービス施設のようになってきた。
英語を教える英語保育園も大人気だ。英会話ベビーシッターのニーズも高く、保育英語検定を取得しスキルアップを狙う保育士も少なくない。来年度から始まる幼児教育の無償化によって、利用者負担が減った分、その余剰金を習い事に当てようという保護者ニーズが高まっているからだ。
しかし、早期英語教育の効果には専門家の見解は否定的だ。発達心理学の第一人者の内田伸子先生はお茶の水女子大学付属中の生徒を対象に早期英語の効果を調査したことがある。調査では、幼児期・児童期に英会話塾に通ったことがある生徒のグループと英語を習ったことがない生徒のグループに、中学1年の終わりにリスニング20%、リーディング80%の構成で英語力テストをすると、まったく差がないことが分かった。むしろ家庭の学習習慣が身に付いている子が英語も伸びるという結果も示された。
保護者の教育費負担を軽減しようと始まった無償化だが、効果のない早期教育に使われるとすれば、教育投資効果にも疑問符が付く。保育の市場化で多様な保育サービスが広がる中、利用者側にも賢い選択を願いたいものだ。(光)