中高生は9月1日、小学生は11月30日

対策推進センター、子供の自殺が多い日を調査

 1学期のいじめ、家庭環境の変化などで、18歳以下の通学適齢期の子供の自殺は9月1日が多い(厚生労働省などの調査)と言われてきたが、実は小学生11月30日、中学生と高校生9月1日が最も多いということが、8月7日に行われた自殺総合対策推進センターの調査結果の発表で明らかになった。全国的に同様な傾向があり、学校段階によってこれまでの通例とは違っているという。

「生き抜く力」など育む教育を

 厚生労働省が発表した平成27年度版自殺対策白書(昭和48年度から平成27年度調査)では、18歳以下の自殺数が日別に明らかにされ、9月1日に自殺者数が最多となることが明らかになり、省庁横断的に対策が取られてきた。

 しかし、そこでは18歳以下をひとまとめにしているため、詳細な分析がされていなかったことから、同センターは小学校から高校まで通学年齢期に当たった者を対象に自殺日の分析を行った。

 自殺総合対策推進センターによる通学適齢期の自殺者数に関する分析は、統計法第33条による申請に基づき提供を受けた。昭和48年度から平成28年度の人口動態調査の調査票情報につき独自集計を実施、小学校から高校までの通学適齢期の自殺者数について分析した。

 日別に自殺者数を見ると、小学校から高校までの通学適齢期を通じて、定説通り9月1日の自殺者数が最も多かった。だが、学校段階別に見ると、中学生と高校生は9月1日、小学生は11月30日の自殺者数の割合が最も多いことが分かった。

 7月下旬から9月下旬にかけての夏休みから夏休み明けに着目し、通学適齢期における直近10年の自殺者数を見ると、8月下旬と9月上旬に自殺者数が多く、8月下旬に自殺者数のピークが見られた。これらの結果から、自殺総合対策推進センターは「9月1日という特定の日に関連した取組みに限らず、夏休み後半から夏休み明けの時期にかけて、児童生徒の自殺防止に向けた取組みを進めていくことが求められる」と考察している。

 生活上の困難やストレスに直面しても適切な対処ができる力を身に付けさせることを念頭に、悩みを抱える児童・生徒にとっては適宜思いを打ち明けられるような相談相手が必要ということを指している。自殺だけでなく、自暴自棄に陥り、自傷行為、不純異性交遊や麻薬・覚醒剤の使用など、自分を傷つける行為に走ってしまうケースもある。子供たちに「命の大切さ」を伝え、「困難を生き抜く力」を育む教育が必要になってきている。