栄養バランスのよい食生活でフレイル(虚弱)予防
ニュートリ・クッキングの葭谷麻利子代表が講演
「~フレイル予防でイキイキした毎日を~健康長寿を支える『食』を学ぼう!」と題した食育講演会がこのほど、東京都立川市の多摩消費生活センターで開かれた。国際薬膳師であり管理栄養士の葭谷麻利子ニュートリ・クッキング代表はフレイル(虚弱)予防に食事でたんぱく質をしっかり取り、栄養バランスの良い食生活を送りましょう、と語り、料理実習も行われた。
吸収を高める食べ合わせを、健康長寿支える『食』を学ぶ
「最近疲れやすい」「痩せてきた」「食欲が落ちてきた」「歩幅が狭く、遅くなった」「外出がおっくうで…」加齢とともに、こうした虚弱状態に陥ることをフレイルという。日本人の平均寿命は男性が81歳、女性87歳。寝たきり、介護が必要になる前の健康寿命は男性72歳、女性75歳。フレイルを予防して健康寿命を延ばしたいものだ。
フレイル予防には「栄養」「運動」「社会参加」三つの柱がある。栄養は、筋肉を作る肉、魚、卵、大豆製品など、たんぱく質と骨格を支えるカルシウムが多い乳製品も取りたい。食が細くなり、低栄養になると、血管が脆(もろ)くなったり、免疫力が低下したり、病気が治りにくくなる。毎日、3食バランスよく、よく噛(か)むことによって、口や顎の筋肉を強くし、口腔機能低下を防ぎ、血流がよくなり、脳の活性化にもつながる。
寝たきりや介護が必要にならないためには、立ったり、座ったり、歩いたり、転倒防止という、安定した、最低限の足腰の力・筋力が必要。また、ボランティアや趣味の活動に参加して自己肯定感を持てる環境づくりも大切。
たんぱく質は命を保つ栄養素。構成するアミノ酸は9種類あり、必須アミノ酸は体内で十分に合成できないので食事から取る必要がある。構造たんぱく質は血液、筋肉、内臓、骨格など体の組織を作る。機能たんぱく質は消化酵素、分解酵素、ホルモン、免疫物質などを作り、体の機能を整える役割をする。骨を丈夫にするカルシウムを効率よく吸収するには、ビタミンD、ビタミンK、たんぱく質との組み合わせが不可欠。魚はビタミンDとたんぱく質を多く含む。ビタミンKは緑黄色野菜に多く含まれるので、サケとブロッコリーのクリームシチュー、トマトとしらすのピザトーストなどを組み合わせた料理がお勧め。
葭谷氏は講演の後、コロコロかじきの夏野菜あんかけ、肉みそ入りじゃが芋おやき、高野豆腐のかきたま汁の調理実習が行われた。かじきまぐろは体内で十分合成できない必須アミノ酸を多く含む、良質なたんぱく質。焼き色が付いてからひっくり返すと、きれいにできる。おやきは皮として、じゃが芋と小麦粉を使い、具に、たんぱく質を多く含む豚ひき肉、ニラを使う。高野豆腐は熱いだし汁で戻すと、奥まで味が染みて、おいしくなる。昼食として、糖質は少なめの、ごはん軽く一膳。参加者は食事をしながら、子供、孫の話や健康のことなど、楽しい会話の時間を過ごした。