「ハレ」の食べ物、和菓子で雛祭り

福岡ひとみさんが食育講座「“食”で行事を楽しもう!」

「ハレ」の食べ物、和菓子で雛祭り

和菓子でできたお雛様

 自然を尊重し、四季折々の行事を大切にしてきた日本人は行事食を通して家族や地域の絆を深めてきた。行事食は旬の食材を食べ、“邪気を払い無病息災を願う”というもの。この伝道行事と行事食を伝える食育講座「“食”で行事を楽しもう!~春の和菓子でひな祭り~」がコンシューマー技術教育研究会の福岡ひとみさんを講師に迎え、東京都立川市の東京都多摩消費生活センターでこのほど開かれた。

 日常生活において「ハレ」と「ケ」という使い分けがあり、日常的な通常の生活を表す「ケ」に対して、改まった特別な状態、めでたい状況を「ハレ」という。昔は「ハレ」の日には晴れ着を着て、神様にお神酒を捧(ささ)げ、餅や団子、赤飯を供え、神様と共に食す大切な日とされていた。誕生の時に「産飯」、お七夜に「赤飯、鯛(たい)」、七五三に「赤飯、鯛、千歳あめ」、還暦など長寿を祝う時、地域のお祭り、年中行事の祝いの時も膳が供えられたりする。

「ハレ」の食べ物、和菓子で雛祭り

レシピを説明しながら、お雛様の衣を作る福岡ひとみさん

 だが、昨今、「ハレ」と「ケ」の違いが無くなってきている。講師の福岡さんは「子供や孫の誕生日に何が食べたい、と聞いても、これというモノが出てこない。飽食の時代だからでしょうか?」と日本の文化が伝えられていないことに首をかしげる。

 講演の後、雛(ひな)祭りにちなんで、和菓子、地元のフルーツや野菜を材料に草餅のお内裏様、桜餅のお雛様作に挑戦した。お内裏様の胴体・草餅は普通、ヨモギなどの葉を入れた餅だが、多摩特産の「のらぼう菜」を使う予定だったが、天候不順で小松菜に変更。

 桜の葉の香りを楽しむ桜餅はクレープのような薄い生地で包むのが関東風、関西では道明寺粉で、あんを包む。今回は季節の果物「イチゴ」を、あんの中に包み、衣のクレープの粉に、黒米を水に漬けた水にレモンを垂らして薄紅色の発色を施した。単に食紅を使わなかったところがミソだという。

 羊羹(ようかん)を使った笏(しゃく)と扇を飾り、ゴマで目鼻を付け、お内裏様の下に椿(つばき)の葉、お雛様の下に桜の塩漬けの葉を敷き、講師の福岡さん作の「親王飾り」が完成。受講生たちは「かわいいね」「子供にも作ってあげたい」と好評価。その後、エプロン・三角巾姿の受講生たちは調理にチャレンジ、個性豊かなお雛様が出来上がり、春の訪れを楽しんだ。