全国学力テスト 出題方式変更へ
知識と活用を一体で問う問題に
文部科学省は16日、小学校6年と中学3年を対象に毎年4月に実施している全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の国語と算数について2019年度以降、基礎知識を問うA問題と活用力を試すB問題の区別を無くし、一体化する方針案を「全国的な学力調査に関する専門家会議」に示し、新学習指導要領の実施を見据えた今後の全国学力調査の検討課題を議論した。
現在、小学校は国語と算数のA問題を各20分の計40分、B問題を国語、算数の各40分で実施。中学校は国語、数学のA、Bとも各45分となっている。3年に1度実施している理科は、知識と活用力を試す問題を一体にして、小学校は40分、中学校は45分で行っている。文部科学省は国語・数学も理科のように、AとBの問題を一体化させたい考えだ。
主体的・対話的で深い学びを各教科で取り入れ、「知識・技能」「思考力・判断力・表現力等」「学びに向かう力・人間性等」という三つの柱が相互関係を持ちながら、子供たちが持つ、各教科における資質・能力の育成を図るという新指導要領の趣旨を踏まえ、これからの学力調査において、問題作成や実施時間、分析などで工夫や改善を図る。
具体的方針として、過去の調査との継続的な分析や、長年課題の残っている問題の改善につなげられるよう、教委や学校に提供するデータなども工夫を図るとした。19年から、中学3年生を対象に、英語のテストが3年に1度程度実施されることなどから、児童・生徒や学校の負担を軽減する狙いもある。
参考資料の中で、過去10回の同調査の実施状況を分析した結果も示され、都道府県ごとの平均正答率の相対的な差も縮まってきており、下位3県の平均が全国平均に徐々に近づいているなど、同調査による学力の底上げも裏付けられた。
日本は参加見送りへ
15歳対象、OECD新調査-文科省
経済協力開発機構(OECD)が世界の15歳(日本は高校1年)を対象に3年に1回実施している国際学習到達度調査(PISA)の一環で、2018年に初めて行われる「グローバル・コンピテンス」調査について、文部科学省が日本の参加を見送る方針を決めたことが16日、分かった。多様な文化的背景や価値観を、一つの尺度で順位付けされる懸念があるためという。
PISAは、知識や技能を実生活で直面する課題にどれだけ活用できるかを評価する。読解力、数学的応用力、科学的応用力の主要3分野に加え、03、12年は問題解決能力、15年には他者と共同で課題を解決する力を測る「協同問題解決能力」の調査が行われた。
18年に実施予定のグローバル・コンピテンス調査について、OECDは「グローバル化の進む社会の一員として、他者と共存しながら建設的に生きていく力を測る」としている。
PISAの問題は一部を除き、原則的には公表されないが、文科省によると、グローバル・コンピテンス調査は各国の文化的背景などに影響される問題や、多様な価値観があり得て解答が絞れない問題などが出される可能性もあるという。