「思考力・想像力を育てる 読むことの学習」
つなぎ言葉の理解深める児童たち
東京学芸大国語教育学会が公開授業
「思考力・想像力を育てる 読むことの学習」を主題に教育研究を行ってきた東京学芸大学国語教育学会は昨年度から継続してきた教師の授業力向上の研究成果の発表がこのほど、東京都練馬区の同大学附属大泉小学校で学校関係者ら約150人を集めて行われた。1年うめ組31人に担任の山下美香教諭が「はたらく じどう車」の公開授業(写真)を行い、「説明的文章の学習指導における主体的・対話的な深い学び」をテーマに白百合女子大学の河野順子教授の講演が行われた。
公開授業では教科書の「はたらく じどう車」を学習材に救急車の「やくわり」と「つくり」の関係性を考えながら「ですから」というつなぎの言葉を児童たちに理解してもらい、文章を書くことを目標にして行われた。
Aとして「きゅうきゅう車は、けがやびょう気でねたままうごけない人をはこぶ じどう車です。
ですから、タイヤのついたベッドを つんでいます。
きゅうきゅう車は、よるは、ヘッドライトをつけて、くらいみちを はしります。」
Bとして「きゅうきゅう車は、サイレンを ならしてはしる じどう車です。
ですから、タイヤのついたベッドを つんでいます。
きゅうきゅう車は、びょう気の人やけがをした人を タイヤのついたベッドに ねかせたまま、びょういんへ はこびます。」
Aは「やくわり」と「つくり」の関係性は正しいが、「つくり」とつながらない説明になっている。Bは「やくわり」と「つくり」の関係性は正しくないが、「つくり」とつながりのある説明になっている。そのことを児童たちに気付いてもらい、最終的には両方を合わせて、文章を作り直せば良い文書になる。そこまで引っ張って行きたいという授業だった。児童たちは熱気にあふれ、気付いたことを発言したくて、授業時間がオーバーしてしまうくらいだった。
河野教授は、講演の中で、質の高い対話を誘う論理的思考力を育成するには「根拠」「主張」「理由付け」の3点セットが必要であり、その中でも「理由付け」において、これまで学んだ既存知識や体験をどれだけ、引き出すことができるか、それを通して思考力・想像力を育てることができる。教える側の先生にそれが問われている、と語った。
説明文書の学習指導における主体的・対話的な深い学びとは「子供の既有知識・既有体験を基点として、教科内容を生かした質の高い課題、子供の自ら生成しようとする学習デザインとして、質の高い対話を実現する論理的思考の重要性、これらをもって指導する先生が生徒たちに自己内対話の活性化を促すというものだ」と河野教授は講演を結んだ。