「チーム学校」で子供の成長を支援

「日本学校心理学会」が第50回記念研修会

石隈理事長が講演、教師・SC・SSWらの連携重要

「チーム学校」で子供の成長を支援

講演する石隈利紀理事長

 学習困難、いじめ、不登校、非行、発達生涯などで苦戦している子供がいる。学習支援、生徒指導・教育相談、特別支援教育、学校保健などの視点から検討されている援助活動の共通枠組みをつくろうとしているのが「日本学校心理学会」。1999年に創設以来、研修会を重ね今回で50回となり、「子ども・チーム学校の今とこれから―新しい『学校心理学』に向けて」と題した記念行事研修会が石隈利紀日本学校心理学会理事長を講師に迎えて行われた。

 スクールカウンセラー(SC)、スクールソーシャルワーカー(SSW)ともに、学校組織に組み入れられたのは最近のことで、いわば、発展途上の仕事。これまで、学級担任や生活指導・進路指導の教員が兼務してきたような仕事だ。SC、SSWは問題を抱える子供に対して学級担任、生徒指導・教育相談に関わる教師、学校管理職、養護教諭、家庭の経済事情や教育環境を知る地域の相談員などの連携を拡充して信頼関係を構築していくことが重要だ。

 「知識・技能」「思考力・判断力・表現力」「学びに向かう力・人間性」という三つの資質・能力を育てることを目指す学習指導要領の改定で学習面、心理・社会面、進路面、健康面など学校生活を包括的に援助するサービスを精神的な面で支えるのが学校心理学だ。

 子供に関しての会議で、ピースを集めて一つの絵をつくる「アメリカ式チーム援助」と、個々人の全体像を関係者が持ち寄り、重ね合わせて、子供の理解を厚くする「日本式チーム援助」は異なる。仕事が簡単なのは、米国式だが、日本式チーム支援の良さを活(い)かしながら、SC・SSWなどを効率的に活用することが重要だ。

 連携を大切にしながら「緩やかな分業」を模索。そして子供本人参加型のチーム援助が、これからのチーム援助で目指すもの。石隈理事長は「子供は自分の人生に責任を持つ。教師等大人は、子供の育つ環境を良いものにする責任がある」と講演をまとめた。


(注)スクールカウンセラー(SC)

 児童生徒の心の悩みに対応することを目的とする専門家の総称。精神科医のほか、学校教育相談学会が認定する学校カウンセラー、日本教育心理学会が認定する学校心理士、財団法人日本心理士資格認定協会が認定する臨床心理士などがある。学校への配置も進みつつある。

(注)スクールソーシャルワーカー(SSW)

 児童・生徒が学校や日常生活で直面する苦しみや悩みについて、児童・生徒の社会環境を構成する家族や、友人、学校、地域に働き掛け、福祉的なアプローチによって解決を支援する専門職。社会福祉士や精神保健福祉士などが就くことが多いが、専門資格はなく、教職や福祉の経験者がなる場合もある。配置型と派遣型があり、配置型は配属された学校の職員として勤務する。もう一方の派遣型は、市町村などの教育委員会を窓口として、依頼のあった学校に派遣されて活動し、複数の学校や生徒の問題を担当することもある。