児童が楽しみながら体力向上/恵庭市立松恵小
北海道教育大のプログラムを実践
JA(農業協同組合)グループ北海道など4団体が相互に協力連携して北海道内にある小中学校の児童生徒の健康増進や学力・体力向上を図る「輝け!北海道の子どもたちプロジェクト」の一環として、昨年12月下旬に札幌近郊の恵庭市立松恵小学校(安部英志校長)で北海道教育大学が研究・開発した運動プログラムによる実践授業が行われた。運動不足・体力低下が指摘される道内の児童にあって、とりわけ冬場の運動スポーツの定着に向けて同プログラムに期待が寄せられている。(札幌支局・湯朝 肇)
冬場の運動スポーツ定着に期待
「やったー。ポイントゲットだ~」―冬休み前の体育の授業で子供たちの元気な声が体育館中に響く。昨年12月22日、恵庭市立松恵小学校で1年生から6年生を対象とした体力向上のための実践授業が展開された。
この日行われた授業の内容は、体力測定とボールを主体にした運動プログラム。一つ目のプログラムは、2チームによる対抗試合で複数のボールを使って平均台の下を転がせ、相手側の壁にぶつかったらポイントとなるゲーム。1試合10分間程度で1、2年生の低学年でも簡単に行うことができ、何よりも楽しくできるのがメリット。もう一つは体力測定。「Nチャレンジ」と呼ばれる障害物のあるN字のコースを走り総合タイムを競うというもの。ここでは児童の筋力や瞬発力などを計っていくが、この日はプロサッカーチーム・コンサドーレ札幌の堀米悠斗選手も参加し、プロの走りを披露した。
実は、この授業はJAグループ北海道、コンサドーレ札幌の運営会社・北海道フットボールクラブ、北海道教育大学、北海道教育委員会の4団体が相互に連携して北海道の子供たちの健康、学力・体力を向上させようとするプロジェクトの一環として行われた。平成23年からスタートした具体的な取り組みとしては、JAグループ北海道が農地や田んぼを提供し食育を実体験する「食育推進プロジェクト」、コンサドーレ札幌の試合会場で再活用図書を収集し、道内の小中学校へ提供する「読書推進プロジェクト」、スポーツや遊びの習慣化や食事を含めた望ましい生活習慣の定着を図る「健康増進プロジェクト」などがある。
松恵小学校が体育の授業に取り入れた「体力向上プロジェクト」は北海道教育大学岩見沢校の森田憲輝准教授らが研究開発した運動プログラムを導入したもので、同准教授は「冬場は雪で外に出る機会のない子供たちに室内でも楽しく学べるものをつくりたかった」と語る。実際に1年生から6年生まで(2学年合同での授業)が参加したこの日の授業では、それぞれ与えられた45分間があっという間に過ぎるほど子供たちは運動に熱中した。
確かに北海道では冬場は降雪のために外に出る機会が少なくなり、自ずと自宅にこもりがち。松江小学校では北海道教育大学岩見沢校と協力し、一昨年7月と12月にそれそれぞれ10日間、子供たちに万歩計を装着して夏場と冬場の歩数の違いを計測したところ、一日平均で5000歩から10000歩以上差のある子供が目立ち、総じて冬場の方が夏場よりも歩数が少ない傾向にあることが明らかになった。
今回の体育の実践授業について安部校長は、「わが校は全児童が107人という小規模校ですが、離れた地域からでも入学できる特認校の指定を受けています。学校の周りは水田や自然が豊かですので子供たちをのびのび育てたい。冬場も子供たちが元気に身体を動かすことができればという思いから北海道教育大学の提案を受け入れました」と語る。同校における同プログラムによる実践授業は2年間に限定されたものだが、安部校長は北海道教育大学と連携し、継続して取り組んでいきたいとしている。