教科書出版社の謝礼の背景は?/少子化響き発行減、経営苦しく


◆ きょういく Q&A ◆

教科書出版社の謝礼の背景は?/少子化響き発行減、経営苦しく

教科書採択の仕組み

  教科書を発行する出版社が校長らに教科書を見せたとしてニュースになっていますが、何が問題なのですか。

  一つには検定中の教科書を見せたことです。教科用図書検定規則では検定申請中の教科書を外部に見せてはいけないことになっています。

 また、業界団体の自主ルールでは、教科書の採択に関係する者に謝礼を払って採択を働きかけることを禁じています。編集会議に校長らを集めて、謝礼を払った出版社があったことで問題になっているのです。

  教師は教科書の採択に関与したのですか。

  全員ではありませんが、教科書を見た教員の何人かは「選定委員」や「調査員」になって、採択の参考資料を作成していました。

  選定委員や調査員が学校で使う教科書を選ぶのですか。

  公立学校で使われる教科書については、採択の権限は市町村や都道府県の教育委員会にあります。国・私立学校は校長にあります。

 ただ、適切に採択するため、教育委員会は専門家からなる選定委員会を設置。選定委員会は教科ごとに教科書を研究させるため、数人の教員を調査員として委嘱しますから、採択に影響を与えることになります。

  今回の問題の背景は?

  教科書を見せて謝礼を渡した出版社は複数ありましたら、業界全体の問題と言えます。検定・採択は4年に1度ですから1度使用してもらえば大きな利益となりますが、少子化で子供の数が減って、教科書出版社の経営が苦しくなって競争が激化していることが考えられます。