体罰と懲戒の違いは?/曖昧さ処分増減の一因に


◆ きょういく Q&A ◆

体罰と懲戒の違いは?/曖昧さ処分増減の一因に

体罰で処分を受けた教員数

  平成26年度に体罰を理由に処分を受けた公立学校の教員が前年度より大幅に減ったのはどうしてですか。

  体罰が減ったというよりも、24、25の両年度の処分が非常に多かったのです。というのは、24年12月に、大阪市立桜宮高校のバスケットボール部員が顧問から体罰を受けて自殺するという事件が起きた影響で、比較的軽微なものまで処分の対象となって激増したのです。

  体罰の基準は決まっていないのですか。

  学校教育法第11条で、「体罰を加えることはできない」と、明確に体罰を禁止しています。その一方で、「校長及び教員は、文部科学大臣の定めるところにより、児童、生徒及び学生に懲戒を加えることができる」と、懲戒を認めています。

 しかし、懲戒と体罰の境界線が明確にするのは難しく、体罰の基準を厳格にすれば、処分が増えることになります。26年度の処分が前年度より減ったと言っても、24年度以前よりは多くなったのは体罰についての認識が厳しくなったからでしょう。

 一般には、身体に対する侵害あるいは肉体に苦痛を与えるような懲戒は体罰になりますが、児童生徒が行った行為や教師の信頼関係などを総合的に判断する必要があります。

  暴力を振るう児童生徒にも、教師は注意するしかできないのですか。

  教師の防衛のため、また他の児童生徒に対する危険を回避するためにやむをえずに行った行為は体罰に該当しません。また、授業中に教室内に起立させたり、学校当番を多く割り当てたりすることは体罰ではなく懲戒の範囲内とされています。