サッカー選手の夢実現させて
心臓移植が必要な中学1年生・松島良生君
沖縄県北谷町の中学1年生、松島良生(らい)君(12)は難病の心筋炎後心筋症を患い、米国での心臓移植手術を目指している。このほど、関係者らが「らい君を救う会」を発足させ、渡航と手術などに必要な2億1500万円の募金活動を行っている。こうした中、介護福祉分野などで慈善事業やビジネス交流会を行う「チームゆいまーる」(比嘉勇樹会長)は13日、同町でチャリティー講演会を開催。闘病中の良生君にエールを送った。(那覇支局・豊田 剛)
沖縄尚学・野球部父母会長の砂川さん
チャリティー講演でエール送る
チャリティー講演会で基調講演を行ったのは、「チームゆいまーる」のメンバーで、沖縄尚学高校・野球部父母会長の砂川正美さん(53)。高校時代、野球部ではエースとして秋季大会優勝、大学と社会人野球でも活躍した。引退後、地元少年野球チームの監督を務め、県大会優勝を果たし全国大会出場に導いた。また、自身の息子4人全員を甲子園に送り出している。
良生君は、砂川さんの息子たちの中学校の後輩。砂川さんは講演を1年に130回以上行うが、サッカー部に所属し、プロサッカー選手を目指すらい君の夢を実現させてあげたいとの思いから、今回初めて自ら講演を申し出たという。
講演で必ず訴えていることは、「ありがとう」という言葉を通して感謝の心を伝えること。そして、「人から何かお願いされれば『チャンス到来』と思って、面倒なことでも快く引き受けること」だという。
野球部のボール拾いやトイレ掃除など、人が嫌がることであっても、「自分が信頼されているからお願いされた」と思うことが大事で、「断ったり、いやいややれば二度とチャンスがこない。『ラッキー』と口に出せば、次は大きなお願いをされるようになる」と話した。
砂川さんの長男が小学6年の時、「甲子園に行きたい」と言い出したという。その時、思いつきで、「五つのことを守れば必ずいける」と言った。
一つ目は、思い描いている夢を作文や絵で表現すること。二つ目は夢が実現した時の姿を想像してみること。三つ目は、夢を手伝ったり支えてくれる人々(ファン)を1人でも多く増やすこと。そのためには、「あいさつの達人」となり、いつでも相手より先に気持ちが伝わるようにすることが大切だと伝えている。
四つ目として、「体を強力な磁石にしろ」と教えている。幸運やチャンスなど、目に見えないものを引き寄せるためには、「必ず履物をそろえる」よう指導している。
最後は、「ありがとうの言葉で気持ちを伝える」こと。砂川さんが五つの中で最も強調している点だ。「人から何かしてもらったら必ず口に出して伝える。使っている物・道具にも感謝の気持ちを表す。そうしなければ幸運が逃げてしまう」と説いた。
砂川さんの4男は今年の夏、4季連続で甲子園に出場した。昨年秋の神宮大会では全国優勝を果たした。幼稚園の時から五つのことを実践し、今でも守っており、「小さい時から実践したおかげ」と信じてやまないという。
良生君は昨年末、急性心筋炎と診断され沖縄県立南部医療センター・こども医療センターへ搬送され入院。診断で救命には心臓移植が必要とされた。日本ではドナーが少なく、心臓移植まで待機期間が最低でも3年ほどになるのが現状だ。
個人や団体から続々と寄付が集まる中、2011年に米国で心臓移植を受けた要(かなめ)美優(みゆ)さんを支援した「美優ちゃんを救う会」はこのほど、募金の余剰金1億2500万円を「らい君を救う会」に寄付した。美優さんの父親・俊明さんは「命のリレー」がつながることを喜んでいる。
救う会によると、募金は16日までに目標金額の2億1500万円を超えた。







