いじめで発覚、タブレット端末活用の落とし穴


 昨年11月、東京都町田市の公立小学校でいじめを理由に自死した6年女子児童の両親が9月13日、「学校や市教委から十分な説明がなく、不適切だ」と国に第三者委員会設置を求めた。

 いじめは小学4年生ごろから始まり、学校が配布したタブレット端末を使ってSNS上で「うざい」「お願いだから死んで」といった書き込みがあったという。いじめ防止対策推進法の「重大事態」として、学校側が迅速かつ適切な対応を怠っただけでなく、タブレット端末の管理にも問題があったことも分かった。

 報道によれば、児童が通う小学校はICT推進の先進的モデル校で、子供の自主性を尊重し、あえて厳格なルールを設けていなかったという。タブレット端末は全員共通のパスワード、IDもクラス番号と出席番号を並べたもので個人のIDを勝手に使う「成り済まし」もできてしまうずさんな管理状況だったことも判明した。

 同校保護者のブログには、「2019年から学芸会、文化祭がなくなり、代わりにICTを活用した学習発表会に変わった」「授業参観に行っても子供たちは何も発言をせずパソコン内で会話していた」といった書き込みもあった。

 昨年の臨時休校中は、6年生だけタブレット端末の持ち帰り学習を実施し、グーグルクラスルームを活用した子供同士のやりとりもあったようだ。端末の持ち帰りは、うまく活用すればクラスのつながりが生まれ、学校再開後のクラス運営を円滑にするという利点があるものの、管理面の不安を理由に持ち帰りをしていない学校が多い。

 1人1台端末支給がほぼ完了し、2学期からICTを活用した授業や学習が本格化しようという時に、今回のいじめ事案は学校に重い責任を突き付けたとも言える。被害児童の尊い命を無駄にせず、思いやりや共感の心を育む、より良い利活用につなげてほしい。(光)