縄文時代の見直し続く、開始年代に3つの説
考古学者と話をしていたら、縄文時代の開始年代について主に三つの説があるという。
最も古いのは約1万5000年前。青森県の大平山元(おおだいやまもと)遺跡で1998年(平成10年)に、石器と一緒に土器のかけらが発掘された。付着していたコゲを分析したところ約1万6000年前の可能性があると分かった。
測定誤差もあるから1万5000年前としているのだろうが、かけらの数が少なくどんな形をしていたかまでは分からない。北海道・北東北の縄文遺跡群キッズサイト「JOMONぐるぐる」でも紹介している。そして、この大発見が、旧蟹田町教育委員会が民家の建て替え工事に伴い発掘調査したもの、というから興味深い。
そもそも、20世紀の定説では、土器はメソポタミアやイラン、イラクあたりの西アジアで気候が温暖になり農耕牧畜が始まった1万年前くらいに発明されたとされてきた。それが、まだ氷河期時代の青森県で発見されたのだ。ほかにロシアや中国で2万年前ほどの土器が発見されたとの報告があるという。
2番目の説は、土器は1万5000年前に発明されたけれど、全国的に普及していないので旧石器時代と区分するまでには至っていない。土器が普及し始めた1万3000年前を縄文時代の始まりとしましょうという説だ。
いやいや、そうじゃない。日本全国で土器が見つかるのは1万年前ごろ。世界的にも、氷河期が終わって温暖な時期になり、栄えてくるのが1万年前なので、そこを縄文時代にしようという考えがある。読者はどう思うのだろうか。
日本列島は南北に伸びていて、北と南では大陸との交流ルートも異なる。約2万年前、北海道は樺太・沿海州と、本州は四国、九州と陸続きだった。温暖化が進むにつれて海水面が上昇し離れ離れになった。考古学の歴史はまだ浅い。今後の発見によっては、教科書の書き換えも大いにあるだろう。
(秋)