茨城県の公立高校から独学でハーバードに挑戦
コロナ禍によって留学を断念する学生が多い折、先日、茨城県の公立高校から独学でハーバードに現役合格した松野知紀さん(18歳)のニュースが流れた。
開成や灘といった名門私立中高一貫校から米国のトップ大学を目指す高校生の話は聞くが、松野さんのような例は聞いたことがない。
どうやって公立高校から現役合格できたのか。メディアの取材に対して、中1の時にALT(外国語指導助手)を通して、会話の面白さを覚え、毎日2時間のオンライン英会話を始めるようになり、中2年の時にシドニーの語学学校に1カ月語学留学したこと。高校入学後、留学中の日本人学生と懇談する機会が与えられたり、北京の「模擬G20サミット」に日本代表で参加したことがきっかけとなったと答えている。
米トップ大学は高額な学費と高い英語力が求められるため、帰国子女や親が国際結婚しているケースが多い。松野さんはいずれにも当てはまらない上に、海外経験も決して多くはない。それでも、ALTから生の英語に触れ、短期語学留学や国際サミットでの体験を活(い)かし、合格率3・4%のハーバード合格を勝ち得たのである。
このニュースを聞いて、独学で東大、ハーバード大学院に入った、日本財団の本山勝寛さんを思い出した。著書『お金がなくても東大合格、英語がダメでもハーバード留学、僕の独学戦記』には、「日本を導いていける一人になりたい。日本をして、世界を導いていける国にしたい」と大きな夢が綴(つづ)られている。
二人に共通するのはさまざまな経験を重ねながら、夢を描けたこと。何よりも親や先生など周囲の理解や支援を得られたことが大きい。リーマンショック以後、リスクや失敗を極力回避しようとする傾向にある。親も子供の無謀な挑戦を大人目線でアドバイスしがちだが、まず親が子供の一番の理解者、支援者でありたい。(光)