コロナ後の人口激減社会に備えて自助自立を


 コロナ下、2020年の人口動態推計は例年とは異なる数値となった。予想以上に少子化が進み、出生数は前年比約2%減の推計84万人台になる見通しだ。今年の新成人は124万人で、この20年で出生数が40万人も減ったことになる。
 厚労省によると、全国市区町村が昨年1~10月に受理した妊娠届出数が前年同期より5・1%も減った。妊娠届出数は7~8カ月後の出生数の目安となるので、今年の出生数はさらに減るだろうと言われている。

 日本総研調査部上席主任研究員・藤波匠氏の分析によれば、昨年と同水準の状態が続いた場合、今年の出生数は前年比7・7%減の78・4万人まで落ち込むと予測している。出生数100万人割れから、わずか5年で70万人台になるとは誰も予想できなかった事態だ。

 今、コロナ感染者の急増により医療が危機的状態にある。コロナ対応できる民間病院が少ない上に、マンパワーがないから受け入れたくともできないという。しかし考えてみれば、これは人口激減社会の現実を浮き彫りにしているように見える。看護師、介護士、保育士、配達ドライバーなど、エッセンシャルワーカーと呼ばれる職種から人手不足が深刻化し、それが他の職種にも広がっていくわけだから、今以上に厳しい社会になりそうだ。

 国交省によると宅配便の取扱数が昨年は2桁増となり、28年には運送ドライバーが28万人不足するという。置き配や料金の値上げで対処しているが、こんな宅配システムがいつまでも続くとは思えない。

 わが家は在宅ワークになってから、ほぼ毎日宅配便が届くのが日常になっている。確かに便利だが、人手不足を考えれば過剰サービス、過度な利用は控える方がいい。何事もシンプルに、自助自立でやっていく。コロナ自粛はある意味、人口激減社会に備えて私たちの行動変容を促しているようにも思える。

(光)