ほっこりした“おチビちゃんたち”のハロパレ
今年のハロウィーンは、例年なら大混雑する東京・渋谷駅前のスクランブル交差点付近でさえも区からの自粛要請もあって、仮装姿は少なく、大騒ぎにはならかったようだ。近年、全国各地に広がっていたハロウィーン・パレード(ハロパレ)もほとんどが中止。この時期の特需を見込む商店街は「いつまでコロナに苦しめられるのか」と、さぞや恨めしく思っていることだろう。
もともとハロウィーンは、古代ケルト民族の祭りだった。10月31日夜、先祖の霊が家族に会いに来ると信じられていたが、その時に一緒にやって来る悪霊を追い払うために、魔女やお化けに仮装して脅かしたのだ。
それが米国に伝わり、子供や大人が仮装して楽しむイベントになった。祭りのシンボル「ジャック・オー・ランタン」も本来、白いカブを使っていたが、黄色いかぼちゃに変わった。
毎年、大勢の若者が繰り出すことで「ハロウィーンの聖地」と呼ばれる渋谷では、悪霊を追い払うどころか、一部が羽目を外した上、ゴミをまき散らしてひんしゅくを買うこともあった。しかし、今年は新型コロナの影響もあって静かに終わった。
一方、筆者は本番の数日前、地下鉄・東西線沿線の、ある駅前を歩いている時、偶然、かわいいハロパレに遭遇した。フロートならぬベビーカーに乗った乳幼児たちだ。魔女やかぼちゃに変身したおチビちゃんたちが、保育士に連れられてはしゃぐでもなく、商店街を静かに行進。途中、交番に寄って、おまわりさんに愛想を振りまいていた。
まだ十分おしゃべりできるような年齢ではなく、「トリック・オア・トリート」(いたずらされたくなかったら、お菓子ちょうだい)とは言わなかったが、その愛らしさに思わずお菓子をあげたくなった。悪霊は無垢(むく)の心にも弱いらしく見事に退散。大人たちはみんなほっこりしていた。
(森)