家庭や地域のつながりが育む「力」


 今年のお盆は7割の人が帰省を取りやめたというニュースがあった。筆者もその一人である。子供の学校の夏休みも終わり、今週からいつもの生活に戻っている。

 帰省の代わりに、実家には手紙を書いた。電話より手紙の方が気持ちが伝わると、知人に勧められて実行した。今は、気持ちだけでも先祖の墓参りをしようと、毎朝祈っているところだ。

 ところで、学校の夏休みは2週間だった。昨年の半分である。休校による授業の遅れを取り戻そうと、体育祭や文化祭など学校行事の多くは中止が決まっている。

 学校教育では、ポストコロナの新しい学びについて議論が始まっている。柱の一つはICT(情報通信技術)の活用だ。もちろんそれは進めてほしいが、学校行事や体験活動もしっかり意義付けてほしい。

 ある調査によると、子供にとって将来必要な資質・能力である「学ぶ力」や「礼儀作法」「コミュニケーション力」「自己肯定感」「積極性」などを育むには、自然体験や地域行事、家族行事の経験が大切だという。

 例えば、キャンプや登山、クラブのような集団活動、子供会活動や地域の祭り、そして家族の季節の行事である。この中には墓参りも含まれている(国立青少年教育振興機構「発達段階に応じた望ましい体験の在り方に関する調査研究」)。

 学校のさまざまな行事も、こうした「生きる力」を育む機会になっているはずだ。

 上記のような活動は、家庭や地域の関わりを強く意識しなければ続かない。これまで繰り返し言われてきたが、これからの教育には学校・家庭・地域の連携がますます必要になるのではないか。先祖の墓参りが縦のつながりを意識するものだとすれば、家庭や地域という横のつながりも意識したい。

(誠)