今にぴったりの歌「ハイ! 石けんで手を洗おう」
新型コロナウイルス感染拡大防止のための緊急事態宣言が5月末まで延長された。
既に緊急事態宣言の下の生活は1カ月以上に及ぶが、実際には安倍首相の要請で各種イベントが中止となり、全国の小中高校が臨時休校となった3月初めから、子供のために仕事を休んだり、テレワークになるなど、自宅中心の感染予防生活は始まっていた。そこまで加算すると、新型コロナによる“非日常的な”生活は2カ月以上となり、既に非日常が日常になった感が強い。
不要不急の外出自粛、外出時のマスク着用や咳(せき)エチケット、出社・帰宅後の手洗いとうがいは既に常識となり、外食は対面を避け早めに済ます、共用のタッチパネルは指先でなく指関節で押す、買い物は手を消毒してから早く済ませる、列に並ぶ時は前後の間隔を十分に取る――等々も身に付いてきた。
そんな“日常”の中で、最近思い出したのが小学校の時に校内放送でよく聞いた「ハイ!石けんで手を洗おう」という歌だ。
手、手、汚い手。手、手、汚れた手/この手を洗おう、きれいにきれいに石けんで/親指、人さし、中指、薬、小指/キュ~キュ、キュッキュ、キュ~キュ、キュッキュ、~/日本中が手を洗う。世界中が手を洗う/ハイ!石けんで手を洗おう。石けんで手を洗おう。
ネットで調べると、この題目の歌にはさまざまなバージョンがあるが、筆者が覚えていたのは1968年の前川陽子、ボニージャックスが歌った2代目のようだ。石けん業界が文部省(現、文部科学省)と厚生省(同、厚生労働省)の後援を得て、石けん使用を増やすために普及させたようなのだが、今の時代にぴったりの歌詞には驚いてしまう。
家族以外との関係が疎遠にならざるを得ない“日常”の中で、この歌が心によみがえったのは「手洗い」だけのためとは思えない。友達の中でもまれて過ごした頃を懐かしく思う心がそうさせたのかもしれない。
(武)