【上昇気流】将棋の羽生善治九段が、第80期順位戦で敗れA級からの降級となった


将棋

 将棋の羽生善治九段(永世七冠資格保持者)が、第80期順位戦で敗れA級からの降級となった。羽生九段でも、勝ち続けることは難しかった。

 A級に在籍していたのは、29年間。勝負では、勝者と敗者とに明確に分かれる。スポーツでは負ければ引退というケースも多いが、知的な競技である将棋は高齢になっても現役を続けることができる。

 羽生九段というスーパースターと入れ替わるように登場したのが、よく知られているように、藤井聡太四冠(竜王、王位、叡王、棋聖)である。藤井四冠は、羽生九段の最年少記録を次々と塗り替えている。現在は第71期の王将戦で、渡辺明王将(名人、棋王を合わせ三冠)に挑戦者として戦いを挑み、シリーズ3連勝を遂げている。

 もし、藤井四冠が今月の11、12日に行われる第4局に勝利すれば、新王将となり史上4人目の五冠となるが、果たしてどうなるか。勝負というものは最後まで分からないのが世の常である。渡辺三冠の奮起を願うファンも多いだろう。

 勝者と敗者とがはっきり分かれるスポーツの代表的な舞台が五輪である。そこで演じられる勝負は、その時だけのものであるために、勝者であれ敗者であれ、印象深いドラマとなって記憶に残る。

 ノーベル文学賞を受賞した米国の文豪ヘミングウェイに「勝者には何もやるな」という名言がある。勝利するまでの過程が重要ということ。そのドラマが今、北京冬季五輪で演じられている。