【上昇気流】元日の恒例行事となったNHKの「ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート」中継


ウィーン 楽友協会ホール

 元日の恒例行事となったNHKの「ウィーン・フィル ニューイヤーコンサート」中継。昨年は無観客で行われたが、今年は2年ぶりに観客を入れての開催となった。

 ほとんどがマスクを着用していたが、楽友協会の黄金大ホールも観客を入れてこそ、その華やかさが活(い)きる。テレビの視聴者にとっては、茶の間に居ながらウインナ・ワルツのリアルタイムの演奏を楽しめるのだから、こんな贅沢(ぜいたく)なことはない。

 中継では客席にもカメラが向けられ、日本人らしき観客も見受けられた。その数も年々増える傾向にあったが、今年は少なかったようだ。やはり新型コロナウイルス感染拡大の影響で海外渡航が難しくなっているためだろう。

 ダニエル・バレンボイムさん指揮の今回のコンサートでは、ヨハン・シュトラウス2世作曲のワルツ「朝の新聞(朝刊)」が演奏された。職業柄か、曲名がテロップで流れた瞬間、自然と耳を集中させて聴いてしまった。

 この曲は1864年、ウィーンのジャーナリスト協会がシュトラウス2世に作曲を依頼したという。オッフェンバックが「夕刊」という曲を同協会に献呈したのを受け、話題づくりの狙いもあったようだ。

 その頃、新聞の宅配が行われていたかどうかは知らないが、少年が朝刊を配っている姿を勝手に想像しながら聴いた。朝の爽やかな空気を感じさせるいい曲だ。願わくば朝刊の記事も、今年は少しでも爽やかなニュースが増えることを祈りたい。