政策論争で大きな成果があった自民党総裁選


岸田文雄新総裁を選出した今回の自民党総裁選。政策論争の面で大きな成果があったのではないか。憲法改正、安全保障、皇位継承、選択的夫婦別姓や同性婚、原発そして年金問題など。どれも日本のこれからを大きく左右する問題で、各候補の主張は大きく異なった。

日本記者クラブ主催の自民党総裁選討論会を前に、記念撮影をする(左から)河野太郎規制改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行=18日、東京都千代田区

日本記者クラブ主催の自民党総裁選討論会を前に、記念撮影をする(左から)河野太郎規制改革担当相、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、野田聖子幹事長代行=18日、東京都千代田区

岸田新総裁が選ばれたのは、各候補の見識、人柄、力量への評価もさることながら、掲げる政策の是非への判断が大きかったと思われる。

立憲民主党をはじめ野党は、相変わらずの派閥力学の結果であって「自民党は変わらない」と論評する。その批判は紋切り型の主張を繰り返す野党にこそ当てはまる。

一連の議論をベースに、自民党は衆議院選挙の公約を、選挙目当てでない現実的なものとして示すことができるのではないか。そういう意味でも、総裁選の実施は大きな意味があった。

岸田新総裁は「年内に数十兆円規模の経済対策を策定する」と大規模な財政出動に取り組むことを表明した。ぜひ実現させてほしいが、日本が直面する国難は新型コロナウイルスだけではない。中国の覇権主義や厳しさを増す安全保障環境などにどう対処するのか。「丁寧で寛容な政治を行う」との言葉は、耳には快く響くが、乱世の宰相としてはやや物足りない感じもする。

しかし、新総裁が持ち味を生かして誠実に真摯(しんし)に物事に取り組む姿勢を貫く限り、いざというときには強力なリーダーシップを発揮するのではないか。それを期待したい。