今月初めにタレントのビートたけしさんが襲撃される事件が起こった。
今月初めにタレントのビートたけしさんが襲撃される事件が起こった。つるはしでたけしさんの乗った車が襲われたが、幸い大きな被害はなかった。犯人も逮捕された。
車は国家元首クラスが乗るような防御力の強固なものだった。ただし、護衛は同乗していない。こうした車を準備しているくらいだから、たけしさんも事件の可能性をある程度は予想していたものと思われる。
たけしさんは危ういところの多いタレントだった。暴力事件の加害者だったこともあるし、単独の交通事故で頭部に重傷を負ったこともあった。今回は被害者だ。
権威を批判する芸風は人気があったが、今は大御所として芸能界に君臨している。権威に批判的な人が権威そのものとなってしまい、存在が大きくなり過ぎた感もある。
テレビ史の中でたけしさんが特徴的なのは、ギャグと真実の境界をあいまいにした点だろう。親しみを持てる面は「功」だが、都合が悪くなると「あれは冗談」と言って逃げる風潮が生まれたのは「罪」だ。たけしさんのポジションもなかなか難しい。
大御所はその通りだが、たけしさんはお笑い芸人なのか文化人なのか。レギュラーで出演している番組は報道系なのか娯楽系なのか。そもそも「娯楽」と「報道」をハッキリ分離できるものなのか。分離すべきなのかそうでないのか。議論すればキリがないだろうが、まともな議論がこれまで行われてこなかったことだけは確かだ。