さまざまな抗原に触れる山歩きは免疫力アップに貢献するという。


山歩き

山歩き

 JR吉祥寺駅で下車し、バスに乗り換える際、人々で賑わっている繁華街を歩いてみた。飲食店の多くは午後8時で閉店のようだが、中には酒類を提供する24時間営業の居酒屋もあった。

いつも満席で賑(にぎ)わっている焼き鳥屋さんは、営業は金土日の3日間のみで、酒類を出さないので店内はがら空き。お土産に買っていく人だけが並んでいた。新型コロナウイルス対策にもばらつきがある。

周囲の人たちは皆、マスク着用や手の消毒、密集の回避などを守っているが、過度に恐怖を感じている人と、あまり恐怖感を示さない人とがいる。その差はどこから来るのか。

そんな時目にしたのが、群馬大学大学院教授で医師の齋藤繁さんの書いた『山登りでつくる感染症に強い体』(ヤマケイ新書)。副題に「コロナウイルスへの対処法」とあるが、登山を始めればすぐに強い体ができるというわけではない。

だがハイキング愛好者たちのデータからは、彼らの多くが生活習慣病から解放され、強い免疫力を持っていることが示される。清潔過ぎる環境で育つと抗体となる病原体に触れる機会が少なく、免疫機能が育たない。

さまざまな抗原に触れる山歩きは免疫力アップに貢献するという。あまり恐怖感を示さない人たちは、こうしたタイプかもしれない。新感覚派の作家、中河与一は長年バイキンの存在に恐怖を抱き、胃潰瘍で苦しんだ。が、登山をすることで解放される。免疫力がアップしたのだ。