都市に来たコンゴウインコ


地球だより

 先日、ブラジル中西部の街を訪れた。世界自然遺産のパンタナールから車で6時間ほどの場所にある人口80万人余りの比較的大きな地方都市で、中層階のビルやマンションも多く、サンパウロのような高層ビル群こそないものの国際空港もある。

 空港からタクシーで街を移動していると、前方の信号機の上に数羽の鳥が止まっているのが見えた。鳩にしては大き過ぎる。色もカラフル過ぎる。よく見ると、なんとコンゴウインコだった。

 めったにないことと思って感動していると、その後も至る所にコンゴウインコや大きなクチバシが目立つオオハシがいる。驚いて運転手に聞いてみると、「これほど多くのインコを見るようになったのはここ数年だよ」との返事だった。

 それを聞いて、鳥類の宝庫パンタナールに比較的近いこともあり、インコ類の保護が進んでいるのだろうかと想像した。

 が、気になって調べてみると全く違った状況が分かってきた。現地紙の報道によると、近年の森林伐採や自然破壊により、野生の鳥類の生息地が激減、餌などを求めて都市に出てきたのだ。

 現在、パンタナールでは、トヨタなどの企業がスポンサーとなり、絶滅危惧種の鳥類を保護し繁殖させる試みが行われている。ただし、鳥類が生息する森や自然が奪われてしまっては、繁殖した鳥の行き場所もなくなってしまう。

 都市で貴重な鳥類を目にすることが、深刻な森林破壊の現状を物語っているとは想像もできないことだった。

(S)